うつ病の本には、著者のリアルな体験談や、専門家のアドバイスなどがまとめられています。しかしベストセラーをはじめ、数多くのうつ病本があるので、選ぶときに迷ってしまうでしょう。
そこで今回は、実際にうつを経験した人・うつの人の家族にも意見を聞きつつ、うつ病の本のおすすめを選んでみました。実際に全冊読んで、それぞれの特徴を解説しています。
また実際に読んだ感想も紹介しています。うつ病の時に読む本だけでなく、家族向けのうつ病本もあるので、ぜひここで紹介するおすすめを参考にしてみてください。
うつ病本のおすすめの選び方
うつ病の本の著者をチェックする

うつ病の本を選ぶときには、まず著者の情報を確認すると良いでしょう。
たとえば著者がうつ病の経験者なら、きっかけから寛解まで、リアルな体験談が紹介されています。「同じ悩みをもつ人がいる」と共感できれば、少し気持ちが楽になるかもしれません。
また「うつ病のときにやって良かった方法」なども書かれています。すべての人に当てはまるとは限りませんが、経験者が実践したことは参考になるはずです。
もしうつ病に対する正しい知識を手に入れたい場合は、医者やカウンセラーなど、専門家が著者の本もおすすめします。
イラスト多め・マンガ形式ならうつ病の人でも読みやすい

うつ病の場合、本が読めない(文字が無理)という人もいます。そのため文字数が多いうつ病の本だと、最後まで読み切れず、自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。
その人の状態にもよりますが、マンガ形式になっているもの、イラストが多いものなら読みやすいと思います。「これなら読めそう」と感じる本があれば、ぜひチェックしてみてください。
ちなみにAmazonなら、試し読みができる場合もあります。口コミで高評価のうつ病本や、ベストセラーのうつ病本は、一度確認してみると良いでしょう。
家族向けのうつ病の本もおすすめ

身近な人がうつ病になってしまい、本を探している人もいると思います。そんなときは、家族向けのうつ病本も検討してみてください。
家族向けのうつ病本では、家族としての接し方・心構え・注意点などが紹介されています。回復までの期間や、社会復帰のタイミングなど、気になることも解説されているでしょう。
ちなみにうつ病に関する内容でなくても、自身のセルフケアに役立つ本があれば、読んでみることをおすすめします。
うつ病の治療で、最も避けたいのが、「うつ病の人を支える家族が倒れてしまうこと」です。そのためセルフケアの方法を学べば、共倒れを防ぐことができます。
おすすめのうつ病の本を紹介
うつ病のことが正しくわかる本

監修 | 野村総一郎 |
出版社 | 西東社 |
ページ数 | 192ページ |
大きさ | 縦:約21cm 横:約15cm 厚さ:約1.5cm |
参考価格 | 1,320円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- フルカラーで図表やイラストも多い
- うつ病の検査や薬のことまで書かれている
- 利用できる支援制度や相談窓口も紹介
うつ病に関する知識が丁寧にまとめられているので読みやすい
『うつ病のことが正しくわかる本』は、一般社団法人日本うつ病センターの野村総一郎先生が監修しています。フルカラーで丁寧にまとめられているのが特徴です。
内容はうつ病の症状や治療法など、見開きで1つの項目を解説しています。ページの半分以上が図表・イラストなので読みやすいと思いました。
また病院の検査方法・薬や漢方の知識・具体的な治療法・復職までの流れなど、ほかのうつ病本にはあまり書かれていないことも記載されています。
さらに家族向けには、利用できる支援制度や相談窓口についても説明されているので役に立つでしょう。うつ病を体験した人の話も参考になると思います。
ツレがうつになりまして。

著者 | 細川貂々 |
出版社 | 幻冬舎 |
ページ数 | 134ページ |
大きさ | 縦:約21cm 横:約15cm 厚さ:約1cm |
参考価格 | 1,210円 |
読書時間の目安 | 約30分 |
- リアルな闘病生活が共感できる
- ほのぼのしたイラストで読みやすい
- 口コミでも高評価で続編もある
「ツレうつ」の名前で有名なうつ病のベストセラー本
『ツレがうつになりまして。』は、ベストセラーにもなったうつ病の本です。著者の旦那さんがうつ病になったときの、リアルな闘病生活が描かれています。
うつ病の症状・できないこと・具体的な経過など、わかりやすく紹介されているのが特徴です。内容はマンガ形式で、イラストもほのぼのしているので読みやすいと思います。
そのため身近な人がうつ病になった場合には、おすすめできる一冊です。どんなことができるのか、どのように接したらいいのか、参考になるでしょう。
ちなみにツレうつは、続編も出ています。Amazonの口コミでも高く評価されているので、ぜひ一度チェックしてみてください。
うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

著者 | 田中圭一 |
出版社 | KADOKAWA |
ページ数 | 176ページ |
大きさ | 縦:約21cm 横:約15cm 厚さ:約1.7cm |
参考価格 | 1,100円 |
読書時間の目安 | 約30分 |
- 手塚治虫の画風で描かれたうつ病の本
- 全17人のうつ病体験談を紹介している
- 内容もマンガ形式で読みやすい
さまざまな人のうつ病体験談をマンガでまとめた本
『うつヌケ』では、うつのトンネルを抜けた人の体験談を紹介しています。著者は漫画家の田中圭一さんで、手塚治虫そっくりの画風が特徴です。
全部で17人分の話が掲載されており、元教師・ロックミュージシャン・小説家などさまざまでした。きっかけや症状なども、皆それぞれ違うことがわかります。
また「脳が濁った寒天に包まれている」「体も心も脳内も灰色」など、独特な表現も印象的で、共感できる内容もあると思いました。
うつ病を抜ける転機となったエピソードも描かれており、内容もマンガ形式で読みやすいので、ぜひ一度読んでみてください。
今の私になるまで -うつと向き合った1年間の記録-

著者 | usao |
出版社 | 大和書房 |
ページ数 | 176ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約1.5cm |
参考価格 | 1,430円 |
読書時間の目安 | 約20分 |
- 小学校教師のうつ病の記録を紹介
- やさしい手書きのマンガが印象的
- パートナーの支え方が参考になる
うつ病のリアルが手書きのマンガからも伝わってくる一冊
『今のわたしになるまで』は、小学校教師のusaoさんが、うつ病になった1年間を記録した本です。休職・退職から現在までの様子が、やさしい手書きのマンガでまとめられています。
個人的には、その日によって描き方に違いがあるのが印象的でした。なかには「この日はこれ以上描けず」というページもあり、うつ病のリアルが伝わってきます。
また旦那さんであるK氏の言葉・考え方も、参考になると思います。そのため、「うつ病の人を支えるときに気をつけること」を知りたい場合にもおすすめの本です。
うつを治す努力をしてきたので、効果と難易度でマッピングしてみた

著者 | ほっしー |
解説 | 和田秀樹 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
ページ数 | 319ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約1.5cm |
参考価格 | 1,650円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- 実践した33個の方法を紹介
- 効果と難易度がわかりやすい
- あとがきで精神科医の解説も
効果と難易度が一目でわかる「うつマッピング」が見やすくてわかりやすい
この本は、効果と難易度が一目でわかる「うつマッピング」で話題になりました。著者のほっしーさんが、うつになったときに実践した方法がまとめられています。
お手軽で効果の良かった方法や、難しくて効果が低かった方法など、全部で33個も紹介されていました。精神科医の先生も、あとがきで高く評価しています。
内容も押し付けるわけではなく、「自分に合いそうな方法があれば試してみて」というスタンスなので、非常に読みやすいと思いました。
うつ病を克服するために、何をしたら良いのかわからないという人にはおすすめの一冊です。
うつ消しごはん

著者 | 藤川徳美 |
出版社 | 方丈社 |
ページ数 | 184ページ |
大きさ | 縦:約18.8cm 横:約13cm 厚さ:約1.6cm |
参考価格 | 1,430円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- 栄養療法の視点からうつ病を解説
- 食事で何を意識したら良いのかわかる
- うつ病の人でも実践しやすい内容
食事や栄養素を意識することでうつ病が良くなった事例を紹介
『うつ消しごはん』は、栄養療法の視点からうつ病を解説しているのが特徴です。著者は精神科医で、タンパク質・鉄など必要な栄養素がまとめられています。
読んでみると、食事で何を増やして、何を減らせばいいのかわかりやすいと思いました。サプリメントは写真付きで、プロテインもコスパの良いものが紹介されています。
うつで動けなくても、食事を意識する方法なら、実践しやすいかもしれません。具体的なレシピなどは書かれていませんが、普通のうつ病本とは違う内容で、興味深いと思いました。
家族が「うつ」になって、不安なときに読む本

著者 | 下園壮太 前田理香 |
出版社 | 日本実業出版社 |
ページ数 | 254ページ |
大きさ | 縦:約18.8cm 横:約13.3cm 厚さ:約1.7cm |
参考価格 | 1,760円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- うつ・クライシスの専門家が著者
- 家族が気になる内容をわかりやすく解説
- 自分自身をケアすることの大切さも紹介
うつと付き合うためのポイントや正しい知識を身に付けられる本
『家族が「うつ」になって、不安なときに読む本』は、うつになった人とその家族をサポートしてきた著者が、アドバイスをしてくれる内容になっています。
実際に読んでみると、初心者でも理解しやすい言葉で、うつ病について解説されていました。難しい用語は使われておらず、適度にイラストもあるので読みやすいでしょう。
またうつ病の人を支える家族が知りたい「回復までの期間」「接し方」などについても、わかりやすく説明されています。
個人的には、自分自身をケアすることの大切さについて書かれているのも良いなと思いました。うつと付き合うためのポイントや、正しい知識を身に付けたい家族におすすめの一冊です。
うつ逃げ ~うつになったので全力で逃げてみた話~

著者 | なおにゃん |
出版社 | KADOKAWA |
ページ数 | 160ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:約15cm 厚さ:約1.3cm |
参考価格 | 1,320円 |
読書時間の目安 | 約15分 |
- 著者の実体験をもとに描かれているマンガ本
- 会社を辞めるまでの様子や休職中の生活も具体的に紹介
- 逃げることへの考え方が変わっていく様子が印象的
うつで休むことに罪悪感を感じる人におすすめの一冊
『うつ逃げ』は、絵本作家のなおにゃんさんの実体験をもとにした、うつ病のマンガ本です。会社を辞めるまでの様子と、休職中の生活が具体的に描かれています。
なおにゃんさんは、逃げることに罪悪感を感じていたそうです。しかし最終的には、「逃げることで前に進めた」と思えていることが印象的でした。
なおにゃんさんの感想をまとめたエッセイや、メンタルクリニック院長の解説もあるので、ぜひチェックしてみてください。
うつ病の人の気持ちがわかる本

監修 | 大野 裕 NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ) |
出版社 | 講談社 |
ページ数 | 102ページ |
大きさ | 縦:20.7cm 横:約18.3cm 厚さ:約0.9cm |
参考価格 | 1,430円 |
読書時間の目安 | 約1時間 |
- うつ病の人の言葉にできない心の訴え・本音を紹介
- 患者本人やその家族の体験談が多く掲載されている
- 各ページにイラストがあるので読みやすい
家族や周りの人にうつ病のことを知ってもらいたいときにも役立つ本
『うつ病の人の気持ちがわかる本』は、うつ病に苦しんだり、過ごし方を工夫したりした人たちの言葉をもとにつくられているのが特徴です。精神科医の大野 裕先生が監修しています。
実際に読んでみると、励ましが受け入れられない・症状をうまく訴えられないなど、うつ病の人の感情が丁寧にまとめられています。また患者本人だけでなく、家族の体験談も多く掲載されていると思いました。
各ページにイラストがあり、文字数も多くないので誰でも読みやすいでしょう。家族や周りの人に、うつ病のことを知ってもらいたいときにも、おすすめできる一冊です。
こころが晴れるノート

監修 | 大野 裕 |
出版社 | 創元社 |
ページ数 | 125ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:約14.8cm 厚さ:約2cm |
参考価格 | 1,320円 |
読書時間の目安 | 約1時間 |
- 直接書き込めるページもある
- 具体例があるので実践しやすい
- 専門家からこの本を紹介された人も
うつ病にも効果的な認知療法を実践できる本
『こころが晴れるノート』は、自分で認知療法を実践できるワークブックです。認知療法は、うつ病の治療にも効果的だと言われています。
内容は6つの章に分かれており、直接書き込めるページもあります。書き方の具体例も紹介されているので、どのようにやれば良いのかをイメージしやすいでしょう。
本はかなり薄く、イラストも多めなので読みやすい方だと思います。精神科医やカウンセラーから、この本をおすすめされたという人もいるので、ぜひチェックしてみてください。
うつ病の本のおすすめまとめ
今回は、うつ病の本のおすすめをまとめてみました。
うつ病の本には、著者のリアルな体験談や、専門家のアドバイスなどが書かれています。調べてみると、うつ病の時に読む本・家族向けの本などさまざまありました。
うつの症状は人それぞれで、人気のベストセラー本がおすすめとは限りません。自分が読めると思うもの、自分にあっていると思うものを選ぶことが大切です。
うつ病の本を探すときには、ぜひここで紹介したおすすめを参考にしてみてください。