エンハンシング効果とは?心理学の意味や具体例をわかりやすく解説

エンハンシング効果とは

エンハンシング効果とは「報酬を得ることによって、興味や好奇心が高まる現象」のことを意味する心理学用語です。

日常生活のなかでも、エンハンシング効果が見られる場面は多くあります。そのため仕組みを理解しておくと、モチベーションの維持に役立つでしょう。

そこで今回は、エンハンシング効果の意味や具体例をまとめてみました。実際に行われた心理学実験についても簡単に解説しています。

ちなみに報酬を与えることで、モチベーションが下がってしまう現象もあるので注意が必要です。エンハンシング効果を正しく理解するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

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エンハンシング効果とは?心理学の意味を簡単に解説

そもそもエンハンシング効果とは、心理学の動機づけに関係している用語です。動機づけについては、「行動を引き起こす心の動き(やる気)」と思っておけば良いでしょう。

そして動機づけには、好き・面白いのように内側から湧いてくる「内発的動機づけ」と、報酬・罰のように外側から与えられる「外発的動機づけ」の2種類があります。

この外発的動機づけによって、内発的動機づけが高まる現象のことを、エンハンシング効果といいます。

【エンハンシング効果とは】
報酬を得る(外発的動機づけ)ことによって、興味や好奇心(内発的動機づけ)が高まる現象のこと。

エンハンシング効果の心理学実験

エンハンシング効果の研究については、1925年にアメリカの心理学者であるエリザベス・ハーロックが行った実験が有名です。

まず平均9歳の子どもと、平均11歳の子どもを集めて、3つのグループに分けます。そして算数のテストを受けさせて、答案用紙を返却するときの先生の態度をそれぞれ変えました。

グループAテスト結果について褒められる
グループBテスト結果について叱られる
グループC何も言われない

テストは全部で5日あり、子どもたちの様子を観察します。すると先生にテスト結果を褒められたグループは、日を追うに連れて成績が良くなりました。

一方でテスト結果について叱られたグループは、2日目のみ成績が良くなったものの、それ以降の目立った変化はありませんでした。

グループA1日目〜5日目まで
日を追うに連れて成績が良くなる
グループB2日目の成績は良くなったものの
それ以降の目立った変化はない
グループC1日目〜5日目まで
ほとんど変化がない

これらの結果から、褒めること(外発的動機づけ)が子どもたちのやる気を高めて、成績も良くなったとハーロック博士は考えます。

また同時に、叱ることにも子どもたちのやる気を高める効果はあるものの、一時的で長くは続かないと結論づけました。

エンハンシング効果の具体例

たとえばお金が貰えるので熱心にアルバイトをしていたところ、その仕事が好きになったケースです。お金による外発的動機づけによって、内発的動機も高まったと考えられます。

また「お客さんに喜んでもらえた」「先輩や後輩から評価された」などの場面でも、エンハンシング効果は起こりやすいと言えます。

このようにエンハンシング効果は、日常生活でもよく見られる現象です。上手に活用するば、自分や相手のモチベーションを高められるので、覚えておくと良いでしょう。

エンハンシング効果とアンダーマイニング効果

報酬などの外発的動機づけによって、内発的動機づけが高まるエンハンシング効果ですが、常にそうなるとは限りません。

たとえば子どもに「お手伝いをしたらお小遣いをあげる」と伝えます。これを繰り返すと、子どもはお小遣いをもらえない限り、手伝ってくれなくなるでしょう。

このように外発的動機づけによって、内発的動機づけが高まるのではなく、かえって下がってしまう現象を「アンダーマイニング効果」といいます。

心理学では、エンハンシング効果・アンダーマイニング効果の両方があるので、「とにかくご褒美を与えれば良い」と間違わないように注意してください。

エンハンシング効果の意味・具体例まとめ

今回は心理学のエンハンシング効果について、簡単にまとめました。

エンハンシング効果の意味は、以下のとおりです。心理学の動機づけに関係する用語で、日常生活でもよく見られます。

【エンハンシング効果とは】
報酬を得る(外発的動機づけ)ことによって、興味や好奇心(内発的動機づけ)が高まる現象のこと。

ただし報酬を与えても、常にモチベーションが高まるとは限りません。実際に心理学では、エンハンシング効果とは逆の意味をもつ「アンダーマイニング効果」もあります。

エンハンシング効果の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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