リンゲルマン効果とは、「集団の人数が多くなるほど、個人が力を入れなくなる現象」を意味する心理学用語です。集団内で人々がサボってしまう心理状況を表しています。
リンゲルマン効果は綱引きの実験で発見され、社会的手抜き・フリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれています。日常でもよく見られるので、原因を確認しておくと良いでしょう。
そこで今回は、リンゲルマン効果とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例・実験内容についても簡単に紹介しています。
リンゲルマン効果の対策方法にも触れているので、内容を理解するためにも、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。
リンゲルマン効果とは?心理学の意味を簡単に解説
そもそもリンゲルマン効果とは、フランスの農学者であるマクシミリアン・リンゲルマンが発見しました。リンゲルマンは、社会心理学者としても知られています。
これは「集団の人数が多くなるほど、個人が力を入れなくなる現象」を意味する心理学用語です。社会的手抜きや、フリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれています。
【リンゲルマン効果とは】
集団の人数が多くなるほど、個人が力を入れなくなる現象のこと。リンゲルマンが実施した綱引きの実験で発見された。
つまりリンゲルマン効果は、「自分一人くらいサボっても問題ないだろう」という人間の心理を表しています。綱引きの人数と、一人あたりの引っ張る力を調べる実験で証明されました。
リンゲルマン効果を証明した綱引きの心理学実験
まずリンゲルマンは、綱引きを1対1で行う場合と、複数人で行う場合で実験を行いました。そして個人の引っ張る力について、どのような変化が表れるのかを調査します。
その結果、綱引きの人数を増やすほど、一人あたりの引っ張る力は下がっていきました。1対1のときを100%とすると、3対3では85%、8対8では49%だったそうです。
この実験については、綱引きのタイミングを合わせることが難しく、力を発揮できなかったという批判もあります。しかし別の実験でも、社会的手抜きの現象は確認されています。
日常で見られるリンゲルマン効果の具体例
綱引きの実験以外に、リンゲルマン効果の説明でよく挙げられるのが、働きアリの例です。
働きアリは、よく働くアリ・普通に働くアリ・サボっているアリが2:6:2の割合になる法則があります。そしてよく働くアリだけを集めても、一部がサボりだして同じ割合になります。
よく働くアリ | 全体の20%の割合 |
---|---|
普通に働くアリ | 全体の60%の割合 |
サボっているアリ | 全体の20%の割合 |
また医療現場や工事現場では、リンゲルマン効果による事故も発生します。「別の人も確認しているから大丈夫だろう」と、ダブルチェックを怠ってしまうようなイメージです。
つまりスポーツやビジネスなど、日常のあらゆる場面において、リンゲルマン効果が起こる可能性はあります。そのため、原因や対策方法もあわせて確認しておくと良いでしょう。
ちなみに、リンゲルマン効果によって本来の力が発揮されず、非効率になって生じた損失のことをプロセス・ロスといいます。
リンゲルマン効果の原因と防ぐための対策方法
リンゲルマン効果が起こる原因には、「集団の中で怠けている人を見つけにくい」ことが挙げれます。人数が多いほどバレる可能性は低くなり、サボりやすくなるという心理です。
また集団内では、「努力に見合った報酬を得られにくい」ことも考えれられます。自分の役割や評価基準が曖昧であれば、モチベーションも下がってしまうでしょう。
これらを防ぐためには、リンゲルマン効果とは逆の視点で、対策を考える必要があります。つまり個人のモチベーションの維持することと、集団を管理する仕組みを作ることが重要です。
たとえば「集団内に自分が必要である」と、個人に動機づけする方法があります。具体的には、一人ひとりの努力をしっかり評価してあげる、チームの結束力を高めるなどです。
集団を管理する仕組みについては、小さなグループをつくる・ギリギリ達成できそうな目標を設定するなども良いでしょう。リンゲルマン効果の対策を考える際には参考にしてみてください。
リンゲルマン効果の意味・心理学実験・具体例まとめ
今回は心理学のリンゲルマン効果について、わかりやすくまとめました。
リンゲルマン効果の意味は、以下のとおりです。「自分一人くらいサボっても問題ないだろう」という人間の心理を表しています。
【リンゲルマン効果とは】
集団の人数が多くなるほど、個人が力を入れなくなる現象のこと。リンゲルマンが実施した綱引きの実験で発見された。
またリンゲルマン効果は、社会的手抜きやフリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれています。日常で見られる例も多いので、原因や対策方法をチェックしておくと良いでしょう。
リンゲルマン効果の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
リンゲルマン効果の参考文献
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