集団凝集性とは?心理学の意味・具体例・高める方法をわかりやすく解説

集団凝集性とは

集団凝集性(group cohesiveness)とは、「個人を集団に留まらせるような力」を意味する心理学用語です。集団凝集性が高いほど、グループの結束力が強いことを表します。

特にスポーツのチーム・企業の部署などにおいて、集団凝集性を高めることは重要でしょう。しかし集団凝集性が高すぎると、デメリットが生じる場合もあるので注意が必要です。

そこで今回は、集団凝集性とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例・実験内容についても簡単に説明しています。

また集団凝集性を高める方法にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次-クリックで該当箇所に移動-

集団凝集性とは?心理学の意味やメリット・デメリットを解説

そもそも集団凝集性とは、同調が起きる要因のひとつとしても知られています。社会心理学の用語で、「個人を集団に留まらせるような力」を意味するものです。

簡単にいえば、「個人と集団の結びつきの強さ」を表しています。集団凝集性が高いほどグループの結束力が強く、集団凝集性が低いほどグループの結束力が弱いというわけです。

【集団凝集性とは】
個人を集団に留まらせるような力のこと。集団凝集性が高いほど、個人と集団の結びつきが強いことを表している。

集団凝集性の高いグループでは、メンバーとの協力関係を構築でき、個人の帰属意識が強くなります。ほかにも生産性が向上する・組織が安定するなどのメリットも考えられます。

一方で同調圧力を感じてしまい、意思決定に影響が出るデメリットもあります。集団で誤った判断をしてしまう「集団浅慮(集団思考)」も起こりやすくなるでしょう。

集団凝集性に関係する心理学実験をわかりやすく紹介

集団凝集性に関係する心理学実験として、ここでは木下稔子(1964)の「集団の凝集性と課題の重要性の同調行動に及ぼす効果」を紹介します。

この実験では、まず高校生を集団凝集性の高い4人組と、そうでもない4人組に分けます。そして重要度の異なる社会問題について、賛否ボタンを押してもらうという内容です。

また各自が回答したあとは、ほかのメンバーの回答を確認できる仕組みになっています。それを踏まえて、再び賛否ボタンを押してもらいました。

すると集団凝集性の高い4人組は、同調率が高くなったそうです。一方でそうでもない4人組は、同調率が低くなりました。

つまりこの実験結果は、集団凝集性が高いほど同調しやすくなることを表していると考えられます。

集団凝集性の具体例を簡単に説明

集団凝集性を説明する際には、スポーツの具体例がわかりやすいと思います。

たとえばうまく連携できていないチームは、集団凝集性が低いといえます。メンバー同士の仲が悪く、個人プレーが目立つこともあるでしょう。

それに対して、勝つために一致団結しているチームは、集団凝集性が高まっています。一人ひとりが自分の役割を理解しており、お互いに切磋琢磨しているようなイメージです。

しかし過度に集団凝集性が高いと、「監督の指示が絶対正しい」と思って視野が狭くなったり、「体調が悪くても休みづらい」という圧力を感じたりするかもしれません。

ちなみに、会社のような集団でも同じです。集団凝集性の高さは、社内の雰囲気・業績の良さ・離職率などに関係していると考えられます。

このように集団凝集性の具体例は、身近で見られることも多いので、ぜひ一度チェックしてみてください。

集団凝集性を高める方法とは?

集団凝集性を高めるには、個人の意識・チーム状況・環境など、さまざま要因にアプローチすることが重要です。

たとえば、全員で共通の目標を設定する方法があります。同じ目標に向かって協力し合うことで、チームの士気が上がり、個人のモチベーションも高まります。

またメンバー同士で過ごす時間を増やすのも良いでしょう。チームの一体感が増すだけでなく、「仲間のために頑張ろう」という個人の責任感も強くなると思います。

ほかにも小さなグループに分ける、一人ひとりに役割を与えるなどが考えられます。集団凝集性を高める方法の例として、参考にしてみてください。

集団凝集性の意味・具体例・高める方法まとめ

今回は心理学の集団凝集性について、わかりやすくまとめてみました。

集団凝集性の意味は、以下のとおりです。社会心理学の用語で、同調が起きる要因のひとつとしても知られています。

【集団凝集性とは】
個人を集団に留まらせるような力のこと。集団凝集性が高いほど、個人と集団の結びつきが強いことを表している。

スポーツやビジネスの具体例からわかるように、集団凝集性の高さはメリットになります。そのため集団凝集性を高める方法について、一度確認しておくと良いでしょう。

しかし一方で、同調圧力を感じてしまい、意思決定に影響が出るデメリットもあります。集団浅慮も起こりやすくなるので、注意が必要です。

集団凝集性の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

集団凝集性に関係する参考文献

集団凝集性

集団の凝集力と生産性に関する実験的研究

集団の凝集性と課題の重要性の同調行動に及ぼす効果

高校野球部員を対象とした集団効力感の研究

スポーツにおける集団凝集性尺度の作成

チームスポーツ競技における集団凝集性と集団効力感を高める構成員の心理社会的能力

身体接触を伴う運動「組ずもう」の教育的効果-集団凝集性の観点から-

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名・タイトルを明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします。

目次-クリックで該当箇所に移動-