ソーンダイクの問題箱実験とは、仕掛けのある箱に猫を入れて、動物の知能を調べようとした研究のことです。
これは「動物が学習できるのか」をテーマにした、最初期の研究でした。そしてソーンダイクの実験結果は、スキナーなどの心理学者にも影響を与えます。
ここではソーンダイクの問題箱実験について、猫を使った実験内容をまとめてみました。また結果に関係する学習理論についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ソーンダイクの問題箱実験とは?わかりやすく解説
そもそもソーンダイクの問題箱とは、アメリカの心理学者のエドワード・ソーンダイクが実験に用いた箱(パズルボックス)を表します。
問題箱の仕掛けはそれぞれ異なり、「レバーを押すとエサが出る」という簡単なものから、複雑な操作が必要なものまであったそうです。
【ソーンダイクの問題箱実験とは】
仕掛けのある箱に猫を繰り返し入れて、動物の知能を観察した実験。「動物が学習できるのか」を調べた最初期の研究である。
ソーンダイクの実験では、問題箱に猫を繰り返し入れて、その知能を観察しました。また犬や鳩でも、同じような研究をおこなっています。
この問題箱の実験から、ソーンダイクは「反応した結果によって動物の行動が変化すること」を発見します。そして研究結果は、オペラント条件づけを提唱したスキナーにも影響を与えました。
猫を使った問題箱の実験内容
ソーンダイクの実験で代表的なのは、「紐を引くと扉が開く」という問題箱に、猫を入れた研究です。そして脱出するまでの様子を観察しました。
問題箱に猫を入れると、最初はわずかな隙間を無理やり通ろうします。また脱出するために箱を噛んだり、引っ掻いたりもしたそうです。
しかし脱出できるようになると、猫はすぐに紐を引くような仕草を見せます。その結果、脱出までにかかる時間が大幅に短縮されました。
※日本行動分析学会のページでは、実験の様子を再現した動画を視聴できます。
猫は論理的に学習している?
問題箱を使った実験で、ソーンダイクは「動物が論理的思考を用いて学習するかはわからない」と結論づけます。
たとえば、紐を引いてすぐ脱出できるようになった猫を、別の問題箱に入れても実験しました。その箱に、紐の仕掛けはありませんでしたが、その猫はひたすら紐を引くような動作を続けたそうです。
また別の実験では、ソーンダイクが猫の手に、紐をかけて引っ張らせます。それでも猫は仕掛けを理解できず、脱出方法を学習するまでに時間がかかったそうです。
ソーンダイクの実験結果に関係する学習理論
ソーンダイクは問題箱実験の結果から、動物の行動に関する学習理論を提唱しています。
ここでは「試行錯誤学習」と「効果の法則」について、簡単にまとめてみました。
試行錯誤学習
ソーンダイクは猫を使った問題箱実験で、脱出までにかかる時間を測定していました。そして実験を繰り返すと、猫の脱出時間が次第に減少することを発見します。
このような学習のことを、ソーンダイクは「試行錯誤学習」と呼んでいます。
効果の法則
たとえば「レバーを押すとエサが出る」ように、動物にとって満足な結果をもたらす反応は、生起しやすくなります。
一方で「レバーを押すと電気が流れる」ように、動物にとって不快な結果をもたらす反応は、生起しにくくなります。
ソーンダイクはこのように、刺激ー反応連合によって学習されることを説明し、これを「効果の法則」と呼びました。
ソーンダイクの問題箱実験の内容・結果まとめ
今回はソーンダイクの問題箱実験について、わかりやすくまとめてみました。
ソーンダイクの問題箱の内容は、以下の通りです。実験では猫を何度も問題箱に入れて、その知能を調べようとしました。
【ソーンダイクの問題箱実験とは】
仕掛けのある箱に猫を繰り返し入れて、動物の知能を観察した実験。「動物が学習できるのか」を調べた最初期の研究である。
この実験結果は、その後スキナーなどの心理学者にも影響を与えます。なので行動心理学を理解するうえでは、内容を確認しておくと良いでしょう。
ソーンダイクの問題箱実験について、理解を深めるためにも、ぜひここで解説した内容を参考にしてみてください。
ソーンダイクの問題箱実験の参考書籍
ソーンダイクの問題箱実験に関する書籍として、「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史」などがあります。
この本ではソーンダイクの実験方法・実験結果が、数ページ程度で簡単にまとめられています。またその他の行動分析学の実験についても、数多く掲載されていました。
内容自体は、初心者でもわかりやすいでしょう。動物や人間における学習の仕組みを学びたい人は、ぜひ読んでみてください。
また行動分析学・行動療法などを学ぶなら、「行動分析学入門」もおすすめです。この本では、行動の強化の仕組みが、具体例と一緒にわかりやすくまとめられています。
教科書のようにサイズは大きく、ページ数も多いので、しっかり勉強したい人向けだといえます。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。
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