心理学の教科書のようなテキストを探している理由は、人によってさまざまです。基本的な知識を学びたい人もいれば、試験対策のために使いたい人もいると思います。
- 大学レベルの心理学を学びたい
- 公認心理師の資格取得を目指している
- 心理系大学院の入試勉強をしたい
ただし教科書によって心理学用語の説明が違ったり、そもそも書かれていない場合もあったりするので注意が必要です。ほかの教科と違って、どのテキストが良いのかわかりづらく、自分で探すのは非常に大変でしょう。
そこで今回は、心理学の教科書におすすめのテキストをまとめてみました。実際に全冊購入して、それぞれの特徴を解説しています。
大学の講義で使われているものや、気軽に購入できる定番の参考書まで、幅広く紹介しているので、心理学の教科書を探している人はぜひ参考にしてみてください。
心理学の教科書に使えるテキストの選び方
心理学の基礎をしっかり学ぶなら大学で使われている教科書を選ぶ
大学で使われている教科書は、心理学の歴史・人物など、押さえておきたいポイントがしっかりまとめられています。解説の順番も整理され、内容を理解しやすいのが特徴です。
心理学実験の内容も、丁寧に書かれていることが多いように感じます。また図表やデータも、参考文献とともに掲載されているので、正しい知識を身につけられるでしょう。
各大学のシラバスを使えば、実際に講義で使われている教科書を調べられます。またAmazonのレビューに書かれていることもあるので、それを参考にするのも良いと思います。
見やすさを重視するならフルカラーのテキストがおすすめ
心理学の教科書の中には、フルカラーになっているテキストもあります。白黒のテキストと比較して、重要語句が目立つようになっているのが特徴です。
またイラストにも色がついているので、そこまで堅苦しさを感じないように思います。実際に読んでみても、見やすさに優れていると思いました。
フルカラーになっている心理学の教科書はあまり多くありませんが、それでも初心者にはおすすめできるので、気になる人は一度チェックしてみてください。
勉強したい心理学領域が決まっているなら専門的な教科書も
心理学の教科書といえば、臨床心理学・認知心理学・社会心理学などをはじめ、複数領域をまとめているものがほとんどです。目次を見ることで、ある程度は確認できると思います。
内容としては「浅く・広く」で、基本的な知識を学べますが、説明は簡潔でしょう。そのため勉強したい心理学領域が決まっているなら、専門的な教科書を選んでも良いかもしれません。
専門的な教科書であれば、用語の意味や実験内容がより詳細に書かれています。普通の本には書かれないようなことも記載されており、理解を深めることができるはずです。
試験対策には対応している参考書を選ぶのがおすすめ
もし心理系の資格試験や、大学院入試試験のために教科書を探しているなら、対応している参考書を選ぶのが良いでしょう。
試験に出やすいポイントがまとめられているので、しっかり対策ができます。種類によっては、赤シートで重要語句を隠せるようになっているテキストもありました。
また試験の流れや、合格基準についても書かれていれば、初めて受験する人でも安心です。ちなみに年度によって内容が変わる場合もあるので、最新版を選ぶようにしてください。
心理学の教科書におすすめのテキストを紹介!
心理学・入門(改訂版)
著者 | サトウ タツヤ 渡邊 芳之 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 274ページ |
大きさ | 縦:約18.9cm 横:約13.3cm 厚さ:約1.3cm |
参考価格 | 2,090円 |
読書時間の目安 | 約3時間 |
- 大学でも使われるような心理学の教科書
- 心理学全体のイメージを掴みやすい
- 勉強に役立つ書籍もまとめられている
巻末のブックガイドが心理学の勉強に役立つ
『心理学・入門』は、大学のテキストとしても使われるような心理学の教科書です。心理学の歴史・分野・人物・研究法などが網羅されています。
内容は少し薄いと感じましたが、心理学全体のイメージを掴むにはぴったりでしょう。基礎知識をもっていたり、補足説明があったりすれば、より理解しやすいと思います。
また個人的には、巻末にあるブックガイドが便利だと感じました。「心理学の歴史を学びたい人向けの本」「心理学の研究法を知りたい人向けの本」など、数多くの書籍が紹介されています。
そのため心理学の勉強をしたい人にはもちろん、公認心理士を目指す人にもおすすめできる一冊です。
ステップアップ心理学シリーズ 心理学入門
編著 | 板口 典弘 相馬 花恵 |
出版社 | 講談社 |
ページ数 | 320ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:14.8cm 厚さ:2.1cm |
参考価格 | 2,640円 |
読書時間の目安 | 約7時間 |
- 項目ごとに3つのステップに分けて解説
- イラストや図表も掲載されている
- 専門用語や提唱者の名前の索引もある
初心者でも使いやすい心理学のカラーテキスト
『ステップアップ心理学シリーズ 心理学入門』は、心理学の面白さが伝わるように、各トピックを3つのステップに分けて解説しています。フルカラーになっている心理学の教科書です。
内容は心理学の歴史と、学習心理学・生理心理学・知覚心理学・認知心理学・社会心理学・パーソナリティ心理学・臨床心理学・発達心理学・神経心理学です。
イラストや図表もカラーで掲載されているので、心理学の初心者でも使いやすいでしょう。専門用語や提唱者の名前の索引もあるので、勉強するときにも役立ちます。
心理学 新版
著者 | 無藤 隆 森 敏昭 遠藤 由美 玉瀬 耕治 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 702ページ |
大きさ | 縦:21.2cm 横:14.9cm 厚さ:3.1cm |
参考価格 | 4,620円 |
読書時間の目安 | 約12時間 |
- 大学院1年生くらいまでのレベルに対応
- 気になる部分をピックアップして読める
- 文献案内としておすすめの心理学本も紹介
大学で心理学研究をする人には欠かせない一冊
『心理学 新版』は、大学で心理学を学んでいる人におすすめのテキストです。大学院1年生くらいまでのレベルに対応しており、基本的な知識から専門的な知見まで解説されています。
内容については、認知心理学・発達心理学・社会心理学・臨床心理学の分野が中心です。項目ごとに細かく分かれているので、気になる部分をピックアップして読むこともできます。
また各章の最後に、文献案内としておすすめの心理学本が紹介されているのも良いと思いました。図表も適度にあるので、このテキストがあれば用語の意味も整理しやすいでしょう。
ほかの心理学の教科書と比較してもかなり分厚く、目次や索引ページも含めれば700ページを超えます。持ち運びには不便なので、自宅で辞書のように使うのが向いています。
基本がわかる 心理学の教科書
著者 | 子安 増生 |
出版社 | 実務教育出版 |
ページ数 | 245ページ |
大きさ | 縦:約21cm 横:約14.8cm 厚さ:約1.4cm |
参考価格 | 1,870円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 心理学検定のA領域5科目に対応
- 文や具体例も高校生の視点で書かれている
- 要点やポイントをしっかり抑えられる
心理学検定に対応している高校生向けのテキスト
『基本がわかる 心理学の教科書』は、高校生向けに心理学の基礎を解説している教科書です。本文が高校生の視点で書かれていますが、大学生や社会人が読んでも問題ない内容だと思います。
重要語句が簡潔にまとめられているテキストなので、要点やポイントをしっかり抑えられるのが特徴です。コラムでは心理学実験の内容や、心理学と関係のある物語・映画なども紹介されていました。
ただ第1章が原理や研究法なので、人によっては「思っていた心理学と違う」「理系っぽい」と感じるかもしれません。抵抗がある場合は、ほかの章から読んでみても良いでしょう。
個人的には、全く心理学の知識がない人よりも、多少勉強している人向けだと思いました。ちなみにこの本は、心理学検定のA領域5科目に対応しているので、心理学検定を受けようと思っている人はぜひチェックしてみてください。
心理学キーワード&キーパーソン事典
著者 | 心理学専門校ファイブアカデミー |
出版社 | ナツメ社 |
ページ数 | 480ページ |
大きさ | 縦:17.4cm 横:11.2cm 厚さ:2.3cm |
参考価格 | 2,200円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 心理系の資格試験や大学院入試に対応
- 用語の意味や重要度を簡潔にまとめている
- 大きさもコンパクトで持ち運びに便利
資格試験や大学院入試の対策に持っておきたい心理学の用語集
『心理学キーワード&キーパーソン事典』は、心理学の重要キーワードをまとめている用語集です。公認心理師の試験対策や、臨床心理士指定大学院の受験勉強に対応しています。
1ページあたり、2〜3つ程度の心理学用語を簡潔に解説しているのが特徴です。重要度も書かれているので、試験勉強をするときも参考になります。
個人的には、各心理学用語の英語表記があるのも良いと思いました。持ち運びに便利な大きさなので、移動中や外出先での勉強にも向いています。
臨床心理学入門 多様なアプローチを越境する
監修 | 岩壁 茂 福島 哲夫 伊藤 絵美 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 308ページ |
大きさ | 縦:19cm 横:13.2cm 厚さ:1.4cm |
参考価格 | 2,090円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 臨床心理学の歴史がわかりやすい
- 異なるアプローチの考え方を比較
- 持ち運びにも便利なサイズ
3つのアプローチの考え方を比較できる臨床心理学の教科書
『臨床心理学入門 多様なアプローチを越境する』は、臨床心理学をはじめて学ぶ大学生向けのテキストです。臨床心理学がどのように発展してきたのか、丁寧にまとめられています。
また後半では、1つの事例に対して、精神力動アプローチ・ヒューマニスティックアプローチ・認知行動アプローチの考え方を比較しています。アセスメントや介入技法の違いが書かれているので、参考になるでしょう。
個人的には、各章の最後に、読書案内としておすすめの本が紹介されているのも良いと思いました。サイズも小さいので持ち運びにも便利です。
よくわかる臨床心理学
編集 | 下山晴彦 |
出版社 | ミネルヴァ書房 |
ページ数 | 312ページ |
大きさ | 縦:25.8cm 横:18.2cm 厚さ:1.8cm |
参考価格 | 3,300円 |
読書時間の目安 | 約8時間 |
- 専門用語を丁寧にわかりやすく解説
- 基本的な理論やアセスメント・介入方法も
- 参考文献やおすすめの本も紹介している
臨床心理学をしっかり学びたい人向けのテキスト
『よくわかる臨床心理学』は、大学の教科書としても使われています。それぞれの専門用語が、2〜4ページ程度で丁寧に解説されている心理学本です。
また基本的な理論だけでなく、障害や問題に対するアセスメント・介入技法なども詳しく説明されていました。図表も多いので、内容も理解しやすいでしょう。
個人的に、各ページに書かれている参考文献やおすすめの本が役立つと思いました。サイズは大きめなので、持ち歩くのは大変かもしれません。
それでも臨床心理学をしっかり学びたい人には、特におすすめのテキストです。
行動分析学入門
著者 | 杉山尚子 島宗理 佐藤方哉 リチャード・W・マロット マリア・E・マロット |
出版社 | 産業図書 |
ページ数 | 388ページ |
大きさ | 縦:25.7cm 横:18.4cm 厚さ:2.2cm |
参考価格 | 3,960円 |
読書時間の目安 | 約8時間 |
- 物語形式で具体的に解説している
- 図表もあって内容がわかりやすい
- 好子・嫌子で行動の仕組みを説明
強化の仕組みを学びたい人にはおすすめのテキスト
『行動分析学入門』は、行動の強化の仕組みを丁寧にまとめたテキストです。サイズは大きめで文字数も多く、学問としてしっかり勉強したい人向けだといえます。
この本は行動分析家の主人公が、さまざまな問題を解決するという物語になっています。専門用語の解説もありますが、あまり堅苦しい感じはしません。
ただし行動分析家としての視点で書かれており、心に焦点を当てる「臨床心理的な考え方」には否定的です。その点は本を読むときに、少し気になりました。
それでも図表や具体例が多く、内容も理解しやすいでしょう。特に「正の強化・負の強化」を、「好子・嫌子」という言葉で説明しているのが印象的で、とてもわかりやすいと思いました。
※改訂版では、現在の多様的な考え方に合わせて、物語の内容が少し変わっています。
学習の心理
著者 | 実森 正子 中島 定彦 |
出版社 | サイエンス社 |
ページ数 | 291ページ |
大きさ | 縦:18.8cm 横:13cm 厚さ:1.4cm |
参考価格 | 1,650円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- 授業の教科書としても使われている
- 基礎から応用レベルまで対応できる
- 条件づけの仕組みが詳しく解説されている
行動のメカニズムを学生向けにまとめた教科書
『学習の心理』は、大学生や短大生向けの教科書となってます。行動のメカニズムについて、図表でわかりやすく解説されているのが特徴です。
読んでみると、基礎的な学習理論だけでなく、応用レベルの内容まで書かれていると感じました。行動実験の内容・結果なども、詳しく説明されています。
全10章のうち、半分以上が古典的条件づけ・オペラント条件づけの内容です。ほかにも観察学習や、長期記憶・短期記憶のことが触れられているので、ぜひ一度チェックしてみてください。
社会心理学 補訂版
著者 | 池田 謙一 唐沢 穣 工藤 恵理子 村本 由紀子 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 502ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:14.9cm 厚さ:2.2cm |
参考価格 | 3,520円 |
読書時間の目安 | 約8時間 |
- 大学の教科書やテキストとしても使える
- 項目ごとに細かく分けて解説している
- 文献案内として別の本の紹介もある
大学で社会心理学を研究する人には欠かせない一冊
『社会心理学 補訂版』は、大学で社会心理学を専攻している人におすすめです。基本的な知識から、専門的な知見までまとめられています。
項目ごとの説明が丁寧で、図表も適度にあるので、内容を整理しやすいのが特徴です。また各章の最後に、文献案内として社会心理学のおすすめ本が紹介されているのも良いと思いました。
目次や索引ページも含めれば600ページを超えるので、持ち運びには不便ですが、社会心理学をしっかり学びたい人には向いているテキストです。
社会心理学キーワード
編者 | 山岸 俊男 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 252ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約1.2cm |
参考価格 | 2,090円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 社会心理学の用語や実験をまとめた本
- テーマごとに見開きで解説されている
- 内容が専門的で教科書や辞書のようにも使える
持ち運びに便利なサイズで使いやすいのが特徴
『社会心理学キーワード』は、社会心理学の用語や実験がまとめられている本です。全部で100個のテーマに分かれています。
キーワードといっても、一問一答のような形式ではなく、テーマごとに見開きで解説されています。内容は専門的で、教科書や辞書のようにも使えるでしょう。
それぞれ最初には100文字程度の要約があり、図表も適度に掲載されています。巻末には「社会心理学の道具箱」として、重要語句を簡潔にまとめた用語集もありました。
文庫本程度の大きさで持ち運びやすく、一冊持っておくと便利な用語集です。
心理学の教科書におすすめのテキストまとめ
今回は心理学の教科書におすすめのテキストを紹介しました。
心理学の教科書を持っていれば、大学レベルの基礎知識はしっかりカバーできると思います。また公認心理師の資格試験や、心理系大学院の入試にも役立つでしょう。
ただし教科書によって心理学用語の説明が違ったり、そもそも書かれていない場合もあったりします。自分の目的にあったテキストを探す必要があるため、選ぶときには注意が必要です。
心理学の教科書に使えるテキストを探すときには、ぜひここで紹介したおすすめを参考にしてみてください。