心理学の研究をしたい人や、公認心理師を目指す人にとっては避けられない「心理学統計」。その計算は複雑で、苦手意識がある人も多いでしょう。
勉強するにしても、心理学統計に関する本はたくさん出版されています。そのため、どれが自分に合っているのか迷ってしまうかもしれません。
そこで今回は、心理学統計が難しいと感じている人向けに、心理学統計本のおすすめをまとめてみました。実際に全冊読んで、それぞれの特徴を解説しています。
初心者向けでわかりやすい心理学統計本や、試験対策に役立つ心理学統計本もあるので、ぜひここで紹介するおすすめを参考にしてみてください。
心理学統計本のおすすめの選び方
難しいと感じる場合は初心者向けの心理学統計本がわかりやすい
まず統計に苦手意識がある場合は、教科書のようなテキストよりも、初心者向けにわかりやすく解説してある心理学統計本がおすすめです。
教科書のようなテキストは、数式が多めでΣ記号なども使われています。心理学統計の理解を深める際には便利なのですが、抵抗がある人だと難しく感じるかもしれません。
一方で初心者向けにわかりやすくまとめられた心理学統計本は、数式が少なめで、説明も丁寧に書かれています。またイメージしやすいように、イラストで解説されているものもありました。
途中で挫折しないためにも、自分のレベルに合わせて、少しずつ難易度を上げるようにしてみてください。
事前に内容をチェックしておくと安心
心理学統計といっても、その手法はさまざまはあります。
基本的なものは、どの心理学統計本でも紹介されていますが、本によっては簡単に触れる程度で、詳しく説明されていない場合もあるでしょう(例:因子分析・回帰分析などの多変量解析)。
そのため購入する前に、出版社の公式サイトで目次を確認しておくと安心です。Amazonで試し読みができれば、そこでチェックするのも良いと思います。
ちなみに心理学統計本では、心理統計ソフトの説明もほとんど書かれていません。Excel・SAS・SPSS・Rなどの使い方を学びたいときは、心理統計ソフトの専門書を探すのをおすすめします。
公認心理師試験や大学院入試の対策ができる心理学統計本もおすすめ
人によっては、公認心理師試験の勉強をしたい・大学院入試を受けたいという理由で、心理学統計本を探しているかもしれません。
この場合は統計のやり方を理解するよりも、用語の意味や出題されやすいポイントを覚えることを優先して、試験対策ができる心理学統計本をチェックするのも良いでしょう。
近年の傾向や重要キーワードを押さえられるので、効率よく勉強を進められるはずです。また試験が終わったあとも、心理学統計の基本を復習する際に役立つと思います。
おすすめの心理学統計本を紹介!
統計嫌いのための心理統計の本

著者 | 白井 祐浩 |
出版社 | 創元社 |
ページ数 | 208ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:14.9cm 厚さ:1.5cm |
参考価格 | 2,420円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- 統計用語をイメージ・文章・数式で理解できる
- 具体例を用いて解説されているのでわかりやすい
- 巻末には心理統計を詳しく学べるおすすめの本も
自分が理解しやすい方法で心理学統計を学べる入門書
『統計嫌いのための心理統計の本』は、数式に抵抗がある人や、自分の研究でどんな統計手法を使うべきかわからない人向けの入門書です。統計用語をイメージ・文章・数式で理解できる仕組みになっています。
前半では「統計に詳しい人に頼るための必要な知識」として、基本的な内容がまとめられていました。かけっこの速さやテストの点数など、具体例を用いて解説されています。
また後半では、t検定や分散分析など、主要な統計手法の全体像が説明されていました。数式の構造や、どのようなことを計算しようとしているのか、非常にわかりやすいと思います。
さらに巻末には、心理統計を詳しく学べるおすすめの本も紹介されています。まさに統計が苦手な人にはぴったりなので、ぜひ一度チェックしてみてください。
公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&キーワード30 心理統計編

監修 | 河合塾KALS |
著者 | 宮川 純 |
出版社 | 講談社 |
ページ数 | 224ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:15cm 厚さ:1.6cm |
参考価格 | 2,750円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- 試験に出やすいポイントを中心に解説
- イラストが多めで説明もわかりやすい
- 確認問題や用語集もついている
試験対策をしたい人や心理統計が難しいと感じる人におすすめの本
『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&キーワード30 心理統計編』は、大学生・社会人向けの予備校である河合塾KALSが監修しています。試験に出やすいポイントを中心にまとめているのが特徴です。
全体的にイラストが多めになっており、説明も丁寧なので、それぞれの意味がわかりやすいと思いました。数式もほとんど使われていないので、統計が難しいと感じる人でも理解しやすいでしょう。
また章ごとに確認問題があり、巻末には用語集もついています。重要語句は赤シートで隠せるようになっているので、公認心理師試験や、大学院入試の対策にはおすすめの心理学統計本です。
心理統計学の基礎

著者 | 南風原 朝和 |
出版社 | 有斐閣 |
ページ数 | 394ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約1.3cm |
参考価格 | 2,420円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 大学の講義での利用を想定した内容
- 数式を用いて理論や方法を丁寧に説明
- ギリシャ文字の読み方やΣの用法の捕捉も
心理統計学の概念的な理解を深められるテキスト
『心理統計学の基礎』は、統計的な理論や方法を丁寧に説明したテキストです。大学の講義でも利用することを想定した内容になっています。
個人的には数式を用いた解説が多いように感じました。ギリシャ文字の読み方やΣの用法の捕捉もありますが、統計学の知識がない人や高校数学に抵抗がある人だと、最初の方でつまずいてしまうかもしれません。
それでも統計学の概念的な理解という意味では、役に立つ一冊と思います。時間をかけて何度も繰り返すことで、心理学統計の理解をかなり深められるでしょう。
一冊目として読むよりも、ある程度の心理学統計の基礎を固めてから読むのがおすすめです。
よくわかる心理統計

著者 | 山田剛史 村井潤一郎 |
出版社 | ミネルヴァ書房 |
ページ数 | 252ページ |
大きさ | 縦:約26cm 横:約18cm 厚さ:約1.8cm |
参考価格 | 3,080円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 各トピックスが数ページ程度でまとまっている
- 身近な具体例を使っているのでわかりやすい
- 計算方法も一つひとつ順を追って説明されている
心理統計の説明が丁寧でわかりやすい一冊
『よくわかる心理統計』は、大学の講義を再現したような内容・文章になっています。各トピックスは数ページ程度でまとまっているので読みやすく、復習もしやすい心理学統計本です。
読んでみると、牛丼屋の比較・ミネラルウォーターの比較など、具体例が身近でイメージしやすいと思いました。またΣ記号を使わずに、計算方法が一つひとつ丁寧に説明されているのもポイントです。
巻末には読書案内もあり、次に読むべき本なども紹介されています。本のサイズは大きいので持ち運びには不便ですが、心理学統計の入門書としてはおすすめなので、ぜひ一度チェックしてみてください。
本当にわかりやすい すごく大切なことが書いてある ごく初歩の統計の本

著者 | 吉田 寿夫 |
出版社 | 北大路書房 |
ページ数 | 332ページ |
大きさ | 縦:約21cm 横:約14.8cm 厚さ:約2.5cm |
参考価格 | 2,750円 |
読書時間の目安 | 約4時間 |
- 基本的な統計法についてわかりやすく解説
- 各章の最後には要点がまとめられている
- 練習問題が多いでの勉強に役立つ
「1人で読んでも十分理解できること」にこだわった一冊
『本当にわかりやすい すごく大切なことが書いてある ごく初歩の統計の本』は、基本的な統計法や、分析結果の解釈の仕方をまとめたテキストです。心理統計に特化した本ではありませんが、心理学にも触れられていました。
この本は「1人で読んでも十分理解できること」にこだわっているのが特徴です。数式は使われていますが、丁寧に説明されているので理解しやすいと思います。
また各章の最後には要点がまとめられているので、復習にも役立ちます。練習問題も多くあるので、統計法を勉強する際には役立つでしょう。
ちなみにこの本では『心理学のためのデータ解析テクニカルブック』から引用されている内容も多くあります。しっかり勉強したい人は、そちらもチェックしてみてください。
心理学統計本のおすすめまとめ
今回は心理学統計本のおすすめをまとめました。
心理学統計が難しいと感じる人はたくさんいますが、心理学を研究する場合や、公認心理師を目指す場合には避けられません。
そのため、自分のレベルに合わせて少しずつ勉強していくのが良いでしょう。初心者向けにわかりやすくまとめられている心理学統計本も多いので、徐々に理解できるようになると思います。
心理学統計本を選ぶ際には、ぜひここで紹介したおすすめを参考にしてみてください。