ボボ人形実験とは?バンデューラが行った実験内容・結果を簡単に解説

バンデューラのボボ人形実験とは

ボボ人形実験とは、「幼児の観察学習(モデリング)に関する実験」のことを意味します。実験で使われたビニール人形をボボ人形と呼ぶことから、この名前がついています。

お手本役の大人がボボ人形を攻撃的に扱い、その様子を幼児に見せると、幼児は攻撃的な行動をとるようになります。

この実験は有名ですが、結果に対して否定的な意見もあります。そのため学んでおくと、発達心理学や社会心理学を理解する上で役立つでしょう。

そこで今回は、ボボ人形実験の内容をわかりやすく解説してみました。結果についても簡単にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ボボ人形実験とは?わかりやすく説明

ボボ人形実験とは

そもそもボボ人形実験とは、心理学者のアルバート・バンデューラが行ったものです。子どもたちは他人を観察して、攻撃性を学習するのかを解明しようとしました。

バンデューラはお手本役の大人を用意して、「人形を投げたり殴ったりする」という行為を子どもたちに見せます。このときに使用されたのが、ボボ人形です。

【ボボ人形実験とは】
バンデューラが行った幼児の観察学習(モデリング)実験のこと。お手本役の大人がボボ人形を攻撃的に扱い、その様子を幼児に見せると、幼児は攻撃的な行動をとる可能性がある。

ボボ人形は等身大に近いサイズで、空気を入れて膨らませてあります。また底には重りが入っており、倒れてもすぐ起き上がる仕組みになっていたそうです。

日本行動分析学会のページでは、実験の様子を再現した動画を視聴できます。

バンデューラのボボ人形実験の内容・結果

バンデューラは3〜6歳の幼児を集めて、3つのグループに分けます。

そして子どもを一人ずつ部屋に入れて、第1・第2のグループには大人のモデルを用意しました。第3のグループは、子どもだけの対照群です。

第1グループ部屋に大人のモデルがいる
大人はボボ人形を攻撃する
第2グループ部屋に大人のモデルがいる
大人はボボ人形を攻撃しない
第3グループ部屋に大人のモデルがいない

10分ほど経過した後、子どもだけを別室に連れて行きます。部屋にはボボ人形をはじめ、ボールや車などのおもちゃが用意されており、幼児の行動を観察したのです。

その結果、暴力的な行動を観察した第1グループの幼児は、叫んだりボボ人形を殴ったりする様子が見られました。このことから、観察学習により攻撃性が高められたとバンデューラは考えます。

ちなみに残りのグループでは、大きな差は見られませんでした。ただし子どもだけの第3グループよりも、攻撃しないモデルを観察した第2グループの方が、攻撃性は低かったそうです。

映像で観察学習をさせた実験もある

ボボ人形を使った観察学習実験

ほかにもボボ人形を使った実験には、このような内容があります。

バンデューラは3つの映像を用意し、そのうち1つを幼児に見せたあと、プレイルームで遊ぶ様子を記録します。

映像1
(代理罰)
大人のモデルがボボ人形を攻撃する
その後にモデルが叱られる
映像2
(代理強化)
大人のモデルがボボ人形を攻撃する
その後にモデルが誉められる
映像3
(無強化)
大人のモデルがボボ人形を攻撃する
その後は何も言われない

このボボ人形実験では、「攻撃的な行動を模倣したのは男児に多いこと」と、「代理罰の映像を観察した女児は模倣が少なかったこと」がわかりました。

ちなみにその後、行動を模倣するように指示すると、ほとんどの子どもがボボ人形を攻撃しました。つまり代理罰のグループが、学習しなかったわけではないとわかります。

ボボ人形実験の結果に対する批判

バンデューラのボボ人形実験は、「テレビ・ゲーム・映画の暴力シーンが幼児に影響を与える」という内容で、引用されるケースもあります。しかし、批判が多いのも事実です。

そもそもボボ人形実験は、「人対人形」で実施されました。そのため「人対人」の暴力にまで至るのかを、一般化することが難しいと言われています。

そして映像を「指示」だと見なし、幼児が模倣した可能性も否定できません。さらに代理罰の結果も踏まえると、幼児は自動的に学習するわけではなく、後先を考えていることが示唆されます。

つまりバンデューラのボボ人形実験結果から、「マスメディアの暴力シーンは子どもに良くない」と、必ずしも言えないということです。

バンデューラのボボ人形実験まとめ

今回はバンデューラのボボ人形実験について、わかりやすくまとめてみました。

ボボ人形実験の内容は、以下の通りです。バンデューラはボボ人形を使って、幼児の観察学習(モデリング)の様子を記録しました。

【ボボ人形実験とは】
バンデューラが行った幼児の観察学習(モデリング)実験のこと。お手本役の大人がボボ人形を攻撃的に扱い、その様子を幼児に見せると、幼児は攻撃的な行動をとる可能性がある。

子どもが観察学習をすると、攻撃的になる様子も見られましたが、この結果については批判もあります。なのであくまでも、心理学実験の一例として覚えておくと良いでしょう。

バンデューラのボボ人形実験について、理解を深めるためにも、ぜひここで解説した内容を参考にしてみてください。

ボボ人形実験の参考書籍

ボボ人形実験に関する書籍として、「心理学入門:快体心書」や「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史」などがあります。

「心理学入門:快体心書」では、映像を使った実験が紹介されていました。また「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史」には、大人が同室にいる実験が解説されています。

どちらの本も、さまざまな心理学実験の方法・結果が簡単にまとめられているので、初心者でもわかりやすいでしょう。発達心理学や社会心理学を学びたい人は、ぜひ読んでみてください。

ボボ人形実験の参考文献

幼児の攻撃行動と向社会的行動のモデリングにおよぼす母子関係の影響

社会的学習理論から社会的認知理論へ

攻撃的行動の獲得機序に関する研究

マスメディアに映る暴力の影響研究

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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