シェイピングとは、「段階的に新しい行動を形成する方法」のことです。行動療法のひとつでもあります。
そこで今回は、シェイピングとは何かを簡単にまとめてみました。心理学における意味、具体的な方法についても、簡単に解説しています。
日常で見られるシェイピングの例も多いので、仕組みを知っておくと役立つでしょう。ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。
シェイピングとは?意味をわかりやすく解説
そもそもシェイピングとは、「段階的に新しい行動を形成する方法」を意味する心理学用語です。反応形成・行動形成や、逐次接近法とも呼ばれています。
シェイピングでは達成しやすい課題を通して、スモールステップを踏みながら、目標行動を習得させます。
【シェイピングとは】
スモールステップを踏みながら、段階的に新しい行動を形成する方法のこと。反応形成・行動形成や、逐次接近法とも呼ばれる。
またシェイピングは、オペラント条件付けを原理した行動療法のひとつです。そのため、障害をもつ子どもの学習プログラムとしても用いられます。
シェイピングの方法を簡単に説明!
シェイピングの方法には、大きく分けて3つの手順があります。
まず1番最初に行うのは「目標行動の決定」です。最終的に習得させたい行動は、シェイピングを実践する前に、予め決めておきます。
2番目に行うのは「出発点の行動の決定」です。現在できる行動の中から、目的行動と関連性のある反応を選び、それを出発点とします。
そして3番目に行うのは「行動の分化強化」です。目標行動に近くなる反応だけを強化して、それ以外の反応を消去するようにします。
目標行動の決定 | 最終的に習得させたい 行動を決める |
出発点の決定 | 現在できる行動の中から 出発点となる行動を選ぶ |
行動の分化強化 | 目標行動に近くなる 反応だけを強化する |
日常で見られるシェイピングの例
たとえばシェイピングの方法を用いて、マスクを着けるという行動を、子どもに習得させるとしましょう。
まず最初に強化するのは、「マスクを持つ」という行動です。マスクを持つことができたら、報酬を与えて、その行動を強化します。
次のスモールステップでは、「マスクを口に近づける」という行動を目標にします。このとき、前段階の「マスクを持つ」だけでは、報酬を与えないようにしてください。
そして最終的には、「マスクを耳にかける」という行動を強化します。ここまでシェイピングがうまくいけば、マスクも着けられるようになっているはずです。
シェイピング以外の行動療法
シェイピングのほかにも、オペラント条件付けを原理とした行動療法はいくつかあります。
たとえばお金などのトークンを用いて、目的となる行動を習得させる「トークン・エコノミー法」です。一定量を集めると、報酬(好きなお菓子など)と交換できるようになっています。
また問題行動の多い子どもに対しては、「タイム・アウト法」もあります。これは大人の注意や周囲の注目が、強化子になっている場合に、それを取り除く方法です。
シェイピングの意味・方法・日常例まとめ
今回はシェイピングとは何か、わかりやすくまとめてみました。
シェイピングの意味は、以下のとおりです。オペラント条件付けを原理した、行動療法のひとつになります。
【シェイピングとは】
スモールステップを踏みながら、段階的に新しい行動を形成する方法のこと。反応形成・行動形成や、逐次接近法とも呼ばれる。
またシェイピングは、日常的にも使われることがあります。そのため方法を知っておくと、役立つ場面も多いでしょう。
シェイピングについて、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
シェイピングの参考書籍
シェイピングに関する書籍として、「行動分析学入門」などがあります。
この本では、行動学習の仕組みが、具体例と一緒にわかりやすくまとめられています。その中に、シェイピングを用いた方法も解説されていました。
教科書のようにサイズは大きく、ページ数も多いので、しっかり勉強したい人向けです。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。
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