風景構成法とは?意味の解釈・やり方・心理学の事例をわかりやすく解説

風景構成法の意味とは

風景構成法とは、「やり方に沿って描画してもらい、その意味を解釈していく」という方法です。箱庭療法から影響を受けており、描画したアイテムの解釈はそれぞれ異なります。

そこで今回は、風景構成法をわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・事例・描画の手順・順番なども、簡単に紹介しています。

また結果の読み取り方や、意味を解釈するときの注意点にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次-クリックで該当箇所に移動-

風景構成法とは?意味をわかりやすく解説

風景構成法とは、1969年に中井久夫によって発案された描画法です。心理学において、投影法のひとつでもあります。

【風景構成法とは】
やり方に沿って川・山など10個のアイテムを描画してもらい、その意味を解釈していく方法。投影法のひとつで、中井久夫が発案した。

風景構成法では、やり方に沿って、川・山など10個のアイテムを描いてもらいます。そして描き手に内在するものを読みながら、描画の意味を解釈していく方法です。

ちなみに風景構成法は、箱庭療法から影響を受けています。そのため統合失調症や依存症など、さまざまな患者に用いられています。

風景構成法のやり方・順番・手順

まず風景構成法で必要なものは、「画用紙・黒のサインペン・色鉛筆・クレヨン」です。色鉛筆やクレヨンは、24色以上のものをおすすめします。

準備ができたら、10個のアイテムを順番に描いてもらうように教示します。最後には、ほかに付け足すものがないか、聞いてあげてください。

そして描き終わったら、描画に色を塗るか確認します。すべて完成させたあとは、描画の内容を深く問うのではなく、感想を聞きながら自然と話し合うのが良いでしょう。

風景構成法で描画する順番

1、川
2、山
3、田
4、道
5、家
6、木
7、人
8、花
9、動物
10、石
11、付け加えたいと思うもの

風景構成法の結果と解釈

風景構成法の描画を読み取るために、ここでは意味の解釈例をまとめてみました。

ただしアイテムの大きさ、配置する場所などによっても、意味の解釈は異なります。また特定のアイテムを描くときに悩むようなら、何か抵抗があるかもしれません。

そのため風景構成法の解釈は、標準化されていないのが特徴です。ここで紹介する内容も、あくまでも参考程度にしてみてください。

アイテム意味の解釈例
自分に近づけられるものと
遠ざけたいものを分けている
大地(現実的なもの)と
空(そうではないもの)を分けている
脅迫的なものや支配的なものを表す
目的に向かうための方向性を表す
家族や安心できる拠点を表す
「家」を補填するものとして描かれる
社会に見せる表面的な自分を表す
「動物」と対比されて描かれる
情緒が込められている場所を表す
動物内面的な本当の自分を表す
「人」を補填するものとして描かれる
不変的なものや障害を表す

風景構成法を解釈するときの注意点

風景構成法を解釈するときには、いくつか注意点があります。

まず基本的に、風景構成法の描画だけで判断するわけではありません。描き手の話を聞いて、整合性を確認しながら描画を読んでいきます。

また1枚だけで解釈するのではなく、複数の描画を見比べます。それによって、治療の過程でどのような内面的変化があったのかを確認します。

ここで紹介した風景構成法の解釈も、すべての人に当てはまるわけではないので注意が必要です。特に治療目的で行う場合は、必ず専門家に見てもらうようにしてください。

心理学における風景構成法の事例

風景構成法の事例としては、統合失調症の患者に対するもの、アルコール依存症の患者に対するものなどさまざまです。

たとえば統合失調症の患者の描画では、川が八の字に分かれていたり、道が分断されていたりしました。また山の上には、棒人間のような人も確認できます。

しかし治療が進むと、1本の川に沿った形で道を描くようになりました。人も家の中に入っていたり、道で歩いていたりしており、変化が見られます。

より詳しく風景構成法の事例を知りたい人は、この後に紹介する参考書籍をチェックしてみてください。

風景構成法の意味・解釈方法・やり方・事例まとめ

今回は風景構成法について、わかりやすくまとめてみました。

風景構成法の意味は、以下のとおりです。川・山など10個のアイテムを描いてもらい、描き手に内在するものを読みながら、描画を解釈していきます。

【風景構成法とは】
やり方に沿って川・山など10個のアイテムを描画してもらい、その意味を解釈していく方法。投影法のひとつで、中井久夫が発案した。

風景構成法は投影法のひとつで、事例も多いのが特徴です。しかし注意点もあるので、意味を解約する際には気をつけましょう。

風景構成法について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

風景構成法の参考書籍

風景構成法に関する書籍として、「風景構成法の文法と解釈」などがあります。

この本では、アイテムごとの意味の解釈が、わかりやすくまとめられています。また実際の事例と合わせて、描画の変化を確認できるところもポイントです。

そのため、風景構成法を理解するにはぴったりの本でしょう。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。

風景構成法の参考文献

「風景構成法」に関する研究

風景構成法における付加物について

風景構成法における高齢者の心的世界

風景構成法における描き手の主観的体験の探索的研究

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名・タイトルを明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします。

目次-クリックで該当箇所に移動-