ミルグラム実験とは?実験例・結果・考察・問題点をわかりやすく解説

ミルグラム実験(アイヒマン実験)とは

ミルグラム実験とは、「良心に反する指示でも権威者に従うか」という研究です。アイヒマン実験とも呼ばれ、電気ショックをどんどん強くするのが特徴的ですが、批判も多くあります。

そこで今回は、ミルグラム実験についてわかりやすくまとめてみました。具体的な実験例や、結果からわかることも簡単に考察しています。

また被験者に嘘がバレていた可能性や、日常生活におけるミルグラム実験の例にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ミルグラム実験とは?意味をわかりやすく解説

そもそもミルグラム実験とは、心理学者のスタンレー・ミルグラムが行った研究を意味しています。それは、「良心に反するような指示でも権威者に従うのか」という内容でした。

【ミルグラム実験とは】
心理学者のスタンレー・ミルグラムが行った、「良心に反するような指示でも権威者に従うのか」という実験。アイヒマン実験とも呼ばれる。

実験者は、生徒役に高圧な電気ショックを与えるよう、被験者(教師役)に指示します。それに対して、被験者が従うのかを調査しました。

実際に電気ショックは流れませんが、この結果から、指示に従う被験者が多いとわかりました。しかしミルグラム実験は、被験者に嘘がバレていたのではという批判もあります。

ミルグラムの実験は「アイヒマン実験」とも

ミルグラム実験が行われたのは、ナチスドイツのアイヒマン裁判が始まってから1年後のことです。アイヒマンは、ユダヤ人を強制収容所へ輸送する指揮官的な人物でした。

最終的には有罪判決が下されますが、アイヒマンは「命令に従っただけだ」と主張します。そこでミルグラムは、権威にどこまで服従してしまうのかを調べようとしました。

そのためミルグラムの実験は、アイヒマン実験とも呼ばれています。

※『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』という、ミルグラム実験を題材にした映画もあります。そこでミルグラム実験の様子を確認できます。

ミルグラム実験の方法を簡単に説明

ミルグラム実験の表向きは、「罰を与えると記憶にどのような影響をもたらすか」というものでした。生徒役が解答を間違えると、教師役が電気ショックを与える仕組みです。

教師役は別室にいき、電気ショックのボタンを押しますが、生徒役が間違えるたびに高電圧になっていきます。最初は15Vで、最高は450Vまでありました。

ちなみに電気ショックは嘘で、生徒役に電流は流れません。しかし300Vを超えたあたりから、生徒役の声が聞こえなくなり、壁を叩く音だけが聞こえる状況を作ります。

ここまでくると、教師役は実験者に指示を仰いだり、「続けなければならないのか」と尋ねたりします。しかし実験者は、このまま続けるように強く主張しました。

ミルグラム実験の結果・考察

ミルグラムの実験では40人中、少なくとも26人が、最大の強さで電気ショックを与えました。実験者に指示を仰ぐ人もいましたが、途中で拒否したのは少数だったそうです。

被験者は大量の汗をかいたり、震えたりしていました。またうめき声をあげる人や、ひきつった表情で笑う人もいたと言われています。

このミルグラム実験の結果から、たとえ良心に反する指示でも、権力に従ってしまうことが考えられます。しかし被験者には、かなりの精神的負担がかかっていたと考察できるでしょう。

嘘だとバレていた?ミルグラム実験の問題点

ミルグラムの実験については、いくつかの問題点があります。そのひとつが、「電気ショックが嘘だとバレていたのではないか」という内容です。

ミルグラムは被験者にアンケートを実施しますが、本気で信じていたのは5〜6割程度だと言われています。疑問を抱いていた、確信を持てなかった人も、約4割いたわけです。

ただしミルグラムは、「被験者が自分自身を正当化するための回答をした可能性がある」という反論をしています。そして実験で嘘だとバレていたかは、わからないとしています。

日常生活におけるミルグラム実験の例

「良心に反する指示でも権威者に従う」ということを考えると、日常生活でもミルグラム実験のような例は見られます。

代表的なのが無視する・邪魔するなどのいじめ問題です。いじめ役はボスの指示に従っていただけで、本当はしたくなかったというケースがよくあります。

またテレビのニュースでも、上からの指示で犯罪を犯したという内容を見かけるでしょう。しかし「自分は従っただけ」でも、責任を負う必要はあるかと思います。

ミルグラム実験の具体例・結果・考察まとめ

今回はミルグラム実験について、わかりやすくまとめてみました。

ミルグラム実験の内容は、以下のとおりです。アイヒマン実験とも呼ばれており、この研究を題材にした映画もあるので、気になる人はチェックしてみると良いでしょう。

【ミルグラム実験とは】
心理学者のスタンレー・ミルグラムが行った、「良心に反するような指示でも権威者に従うのか」という実験。アイヒマン実験とも呼ばれる。

ミルグラムの実験例からは、たとえ良心に反する指示でも、権力に従ってしまうことが考察できます。しかし、嘘がバレていた可能性もあるので注意が必要です。

ミルグラム実験について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

ミルグラム実験の参考書籍

ミルグラム実験に関する書籍として、「服従の心理」などがあります。

この本ではミルグラムの実験例・結果の考察が、わかりやすく解説されています。また「嘘がバレていたのでは」と考えさせられる、実験の不備にも触れられていました。

そのため、ミルグラム実験を理解するにはぴったりの本でしょう。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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