馴化(じゅんか)とは、「同じ刺激を繰り返し経験することで、その刺激に慣れて、反応が減少すること」を意味します。具体例と一緒に確認すると、理解しやすいでしょう。
そこで今回は、馴化についてわかりやすくまとめました!心理学における意味・特性・日常例も、簡単に紹介しています。
また馴化と脱馴化の違いにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
馴化とは?意味や読み方をわかりやすく解説
そもそも馴化とは「同じ刺激を繰り返し経験することで、その刺激に慣れて、反応が減少すること」を意味する心理学用語です。読み方は「じゅんか」で、学習の一種とされています。
【馴化(じゅんか)とは】
同じ刺激を繰り返し経験することで、その刺激に慣れて、反応が減少すること。
たとえば工事現場から、いきなり大きな音が聞こえたら、誰でも驚くでしょう。しかしそれが何度も続けば、徐々に慣れが生じて、驚かなくなるはずです。
ちなみに馴化は、人間だけでなく、さまざまな動物に見られます。また無条件反射や、本能的行動に対しても、馴化は生じます。
心理学における馴化の特性
心理学の馴化には、以下のような特性があります。具体的には、「刺激特定性を持つ」「自発的に回復する」「刺激強度に関係する」です。
これらのポイントを確認しておくと、馴化を理解するときに役立ちます。
刺激特定性を持つ
たとえば工事現場の音に慣れても、急にパトカーの音が聞こえたら驚くでしょう。このように馴化とは、訓練した刺激に特定的であり、ほかの刺激にはしっかり反応します。
ちなみに馴化の刺激特定性の例として、「クーリッジ効果」があります。これは同じメスとの交尾に飽きても、違うメスを見つけると性欲が回復するという、オスの習性を表したものです。
しかし訓練した刺激と、新しい刺激が似ていれば、馴化が見られることもあります(例:パトカーと消防車の音)。これを「刺激般化」といいます。
自発的に回復する
馴化が生じても、しばらくしてから同じ刺激を提示することで、反応は回復します。
そして短期間で集中して学習した「短期馴化」ほど、自発的回復も大きくなります。つまりすぐに学習して、すぐに消失してしまうということです。
一方で、長期的に分散して学習した「長期馴化」は、自発的回復が小さくなります。学習速度は遅いものの、なかなか消失しないのが特徴です。
刺激強度に関係する
馴化とは、刺激の強さによっても差が生じます。
たとえばスマホの着信音のように、刺激強度が弱いものはすぐに慣れます(馴化が速い)。それに対して、工事現場の大きな音のように刺激強度が強いものは、慣れるまで時間がかかります(馴化が遅い)。
また刺激強度が弱いものに馴化させてから、ほかの強さで提示すると、驚愕反応は出やすくなります。一方で刺激強度が強いものに馴化させると、驚愕反応は出にくくなります。
馴化と脱馴化について簡単に説明
脱馴化とは、「馴化させた後に別の刺激を提示すると、もとの刺激に対する反応が回復すること」を意味します。
たとえば工事現場の音に慣れて、馴化が生じているとします。しかし突然、建物からサイレンが鳴り出して、再び工事現場の音を聞いたら驚いてしまうでしょう。
心理学において、馴化と脱馴化は、セットで覚えておくと役立ちます。
日常でも見られる馴化の具体例
心理学の馴化は、日常生活でも見ることができます。
具体的な例のひとつに、「暑熱順化トレーニング」があります。これは運動や入浴などを行い、暑さに慣れることで、熱中症リスクを下げようとするものです。
ほかにもイソップ童話のなかに、「狼と羊飼い」があります。羊飼いが「狼が来たぞー!」と嘘を言い続けて、本当に狼が来たとき、誰も信じなかったという話です。
もし羊飼いが嘘をあまり言わなかったり、違う内容を話していたりしたら、結果は変わっていたかもしれません。
心理学における馴化の意味・読み方・具体例まとめ
今回は心理学の馴化について、わかりやすくまとめてみました。
馴化の意味は、以下のとおりです。読み方は「じゅんか」で、人間だけでなく、さまざまな動物に見られます。
【馴化(じゅんか)とは】
同じ刺激を繰り返し経験することで、その刺激に慣れて、反応が減少すること。
また馴化には、「刺激特定性を持つ」「自発的に回復する」「刺激強度に関係する」という特性があります。具体例と一緒に確認しておくと、覚える際にも役立つでしょう。
馴化について理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
馴化の参考文献
・消防隊員が行う暑熱順化トレーニングの具体的方策に関する検証
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