系統的脱感作法とは、「不安を感じる状況でリラクセーションを行う」という方法です。脱感作反応を起こして、不安を消し去ることを目的にしていますが、注意点もあります。
そこで今回は、系統的脱感作法をわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例・やり方についても、簡単に解説しています。
また系統的脱感作法と、エクスポージャー療法(暴露療法)との違いにも触れているので、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。
系統的脱感作法とは?意味をわかりやすく解説
そもそも系統的脱感作法とは、精神科医のジョセフ・ウォルピが提唱したものです。行動療法のひとつで、逆制止の理論を用いて考案しました。
系統的脱感作法では、不安を感じる状況で、筋弛緩法などのリラクセーションを行います。そして脱感作反応を起こして、不安を消し去ることが目的です。
【系統的脱感作法とは】
精神科医のジョセフ・ウォルピが提唱した「不安を感じる状況でリラクセーションを行う」という方法。脱感作反応を起こして、その不安を消し去る目的がある。
系統的脱感作法は、さまざまな恐怖症・強迫性障害で利用可能です。しかし不安な状況に晒されるため、リラクセーションのコツを掴むまでは、負担も大きいでしょう。
ちなみに実施する際には、不安が低いもの・高いものをまとめた「不安階層表」を作成しておきます。そして、不安の低いものから順番に訓練していきます。
系統的脱感作法の具体例・やり方
ここでは、不潔なものに触りたくないという「不潔恐怖・洗浄強迫」を例に、系統的脱感作法を行うとしましょう。
まずは不安や不快感を感じるものを、不安階層表でまとめておきます。0〜100点満点で、低いものから高いものまで点数化をしてください。
不安度 81〜100 | 100:電車のつり革を握る 95:外のごみ箱にごみを捨てる 90:お店の商品を触る 85:お金を払う |
不安度 61〜80 | 80:ごみ出しの準備をする 75:外の和式トイレを使う 70:外の洋式トイレを座って使う 65:自宅のトイレを使う |
不安度 41〜60 | 60:台所の生ごみ用のごみ箱を触る 50:家のごみ箱に触る |
不安度 21〜40 | 40:家のごみ箱にティッシュなどのごみを捨てる 30:自宅のトイレの壁を触る |
不安度 0〜20 | ー |
参照:強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル (治療者用)
また系統的脱感作法をはじめる前に、リラクセーションの方法を学んでおきましょう。さまざまな種類を試してみて、自分に合いそうな方法を探すのがおすすめです。
ここまで準備ができたら、不安度の低いものから、実際に体験していきます。そして「不快に感じたらリラクセーションを行う」という流れを、ひたすら繰り返してください。
・筋弛緩法
・ストレッチ
・瞑想法
・バイオフィードバック
・自律訓練法
・呼吸法など
※ウォルピが提唱した系統的脱感作法では、筋弛緩法を行っています。
系統的脱感作法を実施するときの注意点
先ほど説明したとおり、系統的脱感作法とは、不安に晒される状況をつくる方法です。当然ながら恐怖を感じたり、つらい思いをしたりすることもあるでしょう。
やり方を間違えれば、不安や恐怖が強くなってしまい、状態が悪化する可能性も考えられます。そのため系統的脱感作法を実施する際には、十分な注意が必要です。
基本的には専門家と相談しながら、不安階層表を作成するようにしてください。その際に、系統的脱感作法のやり方も確認しておくと、安心して行うことができますよ。
参考:系統的脱感作法とエクスポージャー療法の違い
同じように暴露する方法として、「エクスポージャー療法(暴露療法)」があります。ポイントは、不安に晒されたときの対処法の違いです。
エクスポージャー療法では、不安を感じても何も行動しません。そのままの状態にしておいても、不安が自然と弱まることを体験させます。
一方で系統的脱感作法は、不安を感じたときに筋弛緩法などを行います。それによって、徐々に不安が弱まっていく様子を体験させます。
このようにやり方は違いますが、どちらも行動療法なので、混同しないように気をつけましょう。
系統的脱感作法の意味・具体例・やり方まとめ
今回は系統的脱感作法について、わかりやすくまとめてみました。
系統的脱感作法は、「不安を感じる状況でリラクセーションを行う」という方法で、不安階層表をもとに実施します。しかし体の負担もかかるので、まずは専門家に相談するのがおすすめです。
【系統的脱感作法とは】
精神科医のジョセフ・ウォルピが提唱した「不安を感じる状況でリラクセーションを行う」という方法。脱感作反応を起こして、その不安を消し去る目的がある。
ちなみに系統的脱感作法は、行動療法のひとつで、古典的条件づけの原理を利用しています。そのため一緒に確認しておくと、覚える際に役立つでしょう。
系統的脱感作法について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
系統的脱感作法の参考文献
・系統的脱感作法による視線恐怖反応の消去に及ぼすSELF−EFFICACYの役割
・強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル (治療者用)
※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。
※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名を明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします(詳しくは「引用・著作権について」をご確認ください)。