ハーロウの代理母実験とは?アカゲザルを用いた実験の内容・結果を解説

ハーロウの代理母実験とは

ハーロウの代理母実験とは、「アカゲザルを用いた愛着形成の研究」のことです。愛着理論の根拠になったと言われていますが、実験に対する批判もあります。

そこで今回は、ハーロウの代理母実験をわかりやすくまとめました。具体的な実験内容や、アカゲザルの行動についても、簡単に解説しています。

またハーロウの実験結果から考察できることにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ハーロウの代理母実験とは?意味をわかりやすく解説

そもそもハーロウの代理母実験とは、「アカゲザルを用いた愛着形成の研究」を指しています。アメリカの心理学者であるハリー・ハーロウが行いました。

ハーロウは実験で、針金製と布製の代理母模型を用意します。そしてアカゲザルの子どもが、どちらを選ぶのか調査したという内容です。

【ハーロウの代理母実験とは】
「アカゲザルを用いた愛着形成の研究」のこと。針金製と布製の代理母模型を用意して、子ザルがどちらを選ぶのか調査した実験。

実験の結果、アカゲザルの子どもは、布製の母親を好むようになります。つまり接触(スキンシップ)による安心感が、愛着形成に大きく関わっているとハーロウは考えました。

アカゲザルを用いた実験内容を簡単に説明

実験をするにあたって、ハーロウは生まれたばかりのアカゲザル8頭を、母親から隔離します。そして2種類の代理母模型が入っているカゴに、別々に入れて観察しました。

代理母の1つは、針金で作られた筒状の模型で、もう1つは針金に布を巻いた模型です。それぞれ哺乳瓶を着脱できる仕組みになっています。

ハーロウは4頭を「針金製」、もう4頭を「布製」で授乳させて飼育します。また見慣れないもので恐怖を与えたときに、アカゲザルの子どもがどのような行動をするか調べました。

ハーロウの代理母実験の結果・考察

代理母実験の結果、「針金製」の代理母から授乳している子ザルも、「布製」の代理母を好むことがわかりました。また恐怖を感じたときも、「布製」の代理母にしがみつきました。

このことから、「針金製」の代理母だと愛着形成が不十分だったと推測できます。つまり生理的欲求の充足(ミルクでお腹いっぱいになること)が、愛着形成の主要因ではないのです。

むしろスキンシップ(接触)による安心感が、愛着形成に大きく関わっていると考察できます。このハーロウの実験結果は、愛着理論の根拠になったと言われています。

ハーロウの実験には批判もある

ほかにもハーロウは、母親と子ザルを隔離した実験を行っています。なかには、何年間も隔離が続いた研究もありました。

その結果、精神異常が生じた子ザルもいたそうです。そのためハーロウの実験は、倫理的観点からよく批判されています。

代理母実験により、愛着理論の研究が発展したことは事実です。しかし批判があることも、十分に理解しておきしょう。

ハーロウの代理母実験の内容・結果まとめ

今回はハーロウの代理母実験について、意味をわかりやすくまとめました。

ハーロウの代理母実験の内容は、以下のとおりです。アカゲザルの子どもは、「針金製」の代理母から授乳していても、布製の母親を好みました。

【ハーロウの代理母実験とは】
「アカゲザルを用いた愛着形成の研究」のこと。針金製と布製の代理母模型を用意して、子ザルがどちらを選ぶのか調査した実験。

この実験結果から、接触(スキンシップ)による安心感が、愛着形成に関わっているとハーロウは考えます。そのため愛着理論についても、一緒に確認しておくと良いでしょう。

ハーロウの代理母実験について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

ハーロウの代理母実験の参考文献

愛―霊長類学からのアプローチー

From Thought to Therapy: Lessons from a Primate Laboratory

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