新近効果とは、「最後の方に提示された情報を思い出しやすい」ことを意味する心理学用語です。読み方は「しんきんこうか」で、英語では「recency effect」と書きます。
日常の例も多く、「直前に得た情報の影響を受けやすい」というような使い方をする場合もあります。そのため、心理テクニックのひとつとして聞いたことがある人もいるでしょう。
そこで今回は、新近効果とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例・実験内容についても簡単に説明しています。
また新近効果と一緒に紹介されやすい初頭効果にも触れているので、ぜひここで解説する内容を参考にしてみてください。
新近効果とは?心理学の意味をわかりやすく解説
そもそも新近効果とは、記憶の再生率に関係する心理学用語です。新近性効果・リーセンシー効果・終末効果とも呼ばれています。
これは、「最後の方に提示された情報を思い出しやすい」ことを表しています。話のオチだけは覚えていて、途中の内容は忘れてしまったようなイメージです。
また日常生活においては、「直前に得た情報の影響を受ける」というような使い方をする場合もあります。最後の印象が記憶に残ることを表しているので、意味は同じです。
【新近効果とは】
「最後の方に提示された情報を思い出しやすい」ことを表す心理学用語。「直前に得た情報の影響を受けやすい」という意味で使われる例もある。
ちなみに新近効果の漢字表記は、「親近」ではなく「新近」です。間違いやすいので、現在に近い情報・新しい情報は記憶に残りやすいと覚えるのが良いと思います。
新近効果と逆の意味をもつ「初頭効果」
新近効果とは逆に、最初の方に提示された情報を思い出しやすい場合もあります。これを心理学では、初頭効果と呼んでいます。
よく恋愛やビジネスの場面で、「第一印象が大事」といわれるのも、初頭効果によるものです。どちらも心理学の実験によって、その効果が証明されています。
そのため初頭効果と新近効果は、一緒に紹介されることも多いでしょう。意味を混同しやすいので、間違わないように注意してください。
自由再生法を用いた新近効果の心理学実験
自由再生法は被験者に、「バナナ・ピアノ…」など、簡単な単語をまとめたリストを提示します。そして順番は問わずに、提示した単語を思い出してもらうという方法です。
実験を行うと、中央部にある単語よりも、リストの終末部にある単語の再生率が高くなります。またリストの初頭部にある単語の再生率も、同様に高くなりました。
このように提示する順番(系列位置)が、記憶の再生率に影響することを「系列位置効果」といいます。終末部に見られるのが新近効果で、初頭部に見られるのが初頭効果です。
ただし新近効果は短期記憶で消失しやすい
自由再生法の実験については、単語を提示したあと、10〜30秒ほど時間をあけてから思い出してもらう方法でも実施しています。その間、被験者には計算問題などをしてもらいます。
その結果、初頭部の再生率に変化はありませんでしたが、終末部の再生率は低下しました。つまり別の作業を挟んだことで、最後の方の単語を思い出しにくくなったのです。
この違いは、記憶の保持時間が関係していると考えられます。初頭部の単語は、すでに長期記憶になっていたため、別の作業を挟んでも記憶に残っていました。
しかし終末部の単語は、まだ短期記憶のままで、保持時間には制限があります。その状態で別の作業を行ったため、新近効果が消失したというわけです。
日常で見られる新近効果の具体例
新近効果は恋愛やビジネスなど、日常のあらゆる場面で活用できます。
たとえば、商品の特徴を紹介するときの順番です。話の途中でデメリットに触れても、最後にメリットを説明すれば、その商品の良さが強く印象に残ります。
また気になる人がいる場合は、去り際を意識するのもおすすめです。笑顔で見送ったり、一日の感謝を伝えたりすれば、新近効果によって印象が良くなりますよ。
一方で最後の印象が悪いと、逆に良くないイメージを相手に与えることになります。新近効果をうまく利用するためにも、使い方には注意しましょう。
新近効果の意味・具体例・初頭効果との違いまとめ
今回は心理学の新近効果について、わかりやすくまとめました。
新近効果の意味は、以下のとおりです。日常で見られる例も多く、幅広く活用できることから、心理テクニックのひとつとしても知られています。
【新近効果とは】
「最後の方に提示された情報を思い出しやすい」ことを表す心理学用語。「直前に得た情報の影響を受けやすい」という意味で使われる例もある。
また心理学においては記憶と関係しており、新近効果とは逆の意味を持つ初頭効果もあります。そのため意味を覚える際には、混同しないように注意が必要です。
初頭効果の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
新近効果に関係する参考文献
※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。
※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名を明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします(詳しくは「引用・著作権について」をご確認ください)。