社会的比較理論とは、「自分と他者を比較すること」についてまとめた理論のことです。
特に現代は、SNSやインターネットを通して、誰とも気軽に関わることができます。そのため無意識のうちに、他者と比較してしまうケースもよくあるでしょう。
そこで今回は、社会的比較理論とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例についても簡単に説明しています。
また社会的比較理論に関係する、自己評価維持モデルにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
社会的比較理論とは?心理学の意味をわかりやすく解説
そもそも社会的比較理論とは、アメリカの社会心理学者であるレオン・フェスティンガーが提唱したものです。社会的比較とは、「自分と他者を比較すること」を意味します。
たとえば他者の意見と自分が同じだとわかれば、その考えは強化されるでしょう。その結果、集団内の意見が極端になる「集団極性化(集団極化現象)」が起こる可能性もあります。
人間が社会的比較を行う理由について、フェスティンガーは「正確な自己理解のため」だと考えます。つまり他者と比べて、自分の能力や意見を評価しようとしているのです。
【社会的比較理論とは】
社会心理学者のフェスティンガーが提唱した、「自分と他者を比較すること(社会的比較)」についてまとめた理論。
そのため社会的比較理論は、以下のような内容で成り立っています。またその後の研究で、自己理解のほかにも役立つことがわかり、上方比較・下方比較などの概念も出てきました。
- 人間は、自分の能力や意見を正しく評価しようとする
- 評価基準がない場合、他者と比較して判断しようとする
- 一般的に、自分と類似している他者と比較するなど
上方比較 | 【自分よりも上だと感じる人と比較】 自分を鼓舞してモチベーションを高める目的がある。 ただし自分と相手の差が大きすぎると、やる気をなくすリスクもある。 |
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下方比較 | 【自分よりも下だと感じる人と比較】 自尊感情を高めてモチベーションの低下を防ぐ目的がある。 |
社会的比較の具体例を簡単に説明
社会的比較を説明する際には、SNSの具体例がよく挙げられます。
たとえば自分が憧れている人や、頑張っている人の投稿を見ると、やる気が出てくるイメージです。これは上方比較により、モチベーションが高まったことを表しています。
一方で自分が失敗したときや、辛い経験をしたときは、より不幸な人の投稿を見てしまいがちでしょう。これは、自分の気持ちが下がるのを防ぐための下方比較だといえます。
ほかにも「同級生と集まって年収を聞く」「会社の同僚と結婚について話し合う」なども、社会的比較が関係していると考えられます。
社会的比較理論と関係する「自己評価維持モデル」
社会的比較理論に含まれるモデルのひとつに、「自己評価維持モデル」があります。
これは「肯定的な自己評価を維持しようと感じる過程」を説明しています。他者と比べて自分が劣っているときに、自分自身が傷つくのを守ろうとするイメージです。
たとえば自分の夢が漫画家で、友達が全く関係のない分野で活躍していたら素直に喜べるでしょう。しかし友人が漫画家デビューをしたら、その人とは距離を置くかもしれません。
自己評価維持モデルも、日常生活でよく見られる現象なので、社会的比較理論とあわせて確認しておくことをおすすめします。
社会的比較理論の意味・具体例まとめ
今回は心理学の社会的比較理論について、わかりやすくまとめてみました。
社会的比較理論の意味は以下のとおりです。社会的比較を行う理由については、正確な自己理解のためだけでなく、さまざまな目的や動機に役立っていることがわかってます。
【社会的比較理論とは】
社会心理学者のフェスティンガーが提唱した、「自分と他者を比較すること(社会的比較)」についてまとめた理論。
特にSNSやインターネットを通して、社会的比較を行っている例はよく見られます。その結果、集団極性化などが起こる場合もあるので、内容を確認しておくと良いでしょう。
社会的比較理論の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
社会的比較理論に関係する参考文献
・大学生におけるSNS利用実態と精神的健康との関連の検討 ─ 社会的比較と妬みに着目して ─
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