サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは?例や反論をわかりやすく解説

サピア・ウォーフの仮説の意味とは

サピア・ウォーフの仮説とは、「私たちの世界観や認識は、言語の影響を受けている」ことを表します。しかし解釈による意味の違いや、反論もあるので注意が必要です。

そこで今回は、サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)をわかりやすくまとめました。心理学の意味・具体例なども、簡単に紹介しています。

またサピア・ウォーフの仮説の「強い仮説」「弱い仮説」にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。

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サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは?

そもそもサピア・ウォーフの仮説とは、言語学者のベンジャミン・ウォーフが提唱した概念です。人類学者のエドワード・サピアの考えをもとにしているため、2人の名前が入っています。

別名では「言語相対性仮説」や「言語相対論」などと呼ばれています。これは、「私たちの世界観や認識は、言語の影響を受けている」という仮説を表した心理学用語です。

【サピア・ウォーフの仮説とは】
「私たちの世界観や認識は、言語の影響を受けている」という仮説。言語相対性仮説や、言語相対論とも呼ばれる。

たとえばイヌイットの人たちは、「雪」を意味する単語が何種類もあります。北極圏の近くで生活しており、雪の状態や振り方が大きく影響することを考えれば、当然のことでしょう。

またサピア・ウォーフの仮説は、言語発達や概念習得の研究で用いられることもあります。

サピア・ウォーフ仮説の「強い仮説」「弱い仮説」

サピア・ウォーフの仮説は、解釈の仕方によって、強い仮説と弱い仮説があります。

強い仮説は、「言語が思考を決定づける」と強く主張したものです。一方で弱い仮説は、「言語が思考に影響を与える」と主張する程度になっています。

この強い仮説に対しては、反論も多くあります。しかし実際のところ、ウォーフ自身は「決定づける」と強調していないと言われています。

サピア・ウォーフの仮説
強い仮説
言語が思考を決定づける
(言語決定論)
サピア・ウォーフの仮説
弱い仮説
言語が思考に影響を与える
(言語相対論)

サピア・ウォーフ仮説の例をわかりやすく解説

たとえば虹の色は、日本だと赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色です。しかし国によっては6色だったり、それ以外だったりします。

またニューギニアのダニ族は、色彩に対する表現が「明るい」「暗い」の2種類しか持ちません。しかし知覚・認知能力において、他の民族と差異はないそうです。

日本の例でも、たとえば英語で1人称「I」を表す言葉が、私・俺・自分などたくさんあります。このように、サピアウォーフ仮説の具体例はいくつも見られるでしょう。

サピア・ウォーフの仮説に対する反論

特にサピア・ウォーフの強い仮説(言語が思考を決定づける)に対しては、反論もあります。具体例年は、チョムスキーやピンカーによる、生成文法理論の考え方です。

この理論は、「人間が言語のベースとなる文法を生得的に備えてる」ことを表します。つまり「言語によって思考は影響されない」という主張です。

ちなみに著者がピンカーの本「言語を生みだす本能」でも、サピア・ウォーフの仮説の批判が書かれています。気になる人は、ぜひチェックしてみてください。

サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)の意味・具体例まとめ

今回はサピア・ウォーフの仮説について、わかりやすくまとめました。

サピア・ウォーフの仮説の意味は、以下のとおりです。日常生活で見られる具体例も、たくさんあります。

【サピア・ウォーフの仮説とは】
「私たちの世界観や認識は、言語の影響を受けている」という仮説。言語相対性仮説や、言語相対論とも呼ばれる。

またサピア・ウォーフの仮説には、「強い仮説」と「弱い仮説」があります。意味の解釈によっては、反論もあるので注意が必要です。

サピア・ウォーフの仮説について、正しく理解するためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)の参考書籍

サピア・ウォーフの仮説に関する書籍として、「言語・思考・現実」などがあります。

「言語・思考・現実」は、ウォーフが著書の本です。具体的な事例と一緒に、サピア・ウォーフの仮説がわかりやすく解説されていました。

またサピア・ウォーフの仮説を批判した、ピンカーの「言語を生みだす本能」もおすすめです。あわせて読むと、理解を深められるでしょう。

サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)の参考文献

サピア・ワーフ仮説再考

コミュニケーション論におけるエドワード・サピアの言語論の現代的意味

言語学についての哲学的考察序説

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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