紙とペンを使って、思い浮かんだ言葉をそのまま書き出すジャーナリング(journaling)。やり方も簡単で、自己理解が深まる効果を期待できることから、Googleなどの企業も導入しています。
そこで今回は、ジャーナリングの効果・やり方について、わかりやすくまとめてみました。お題に困ったときのテーマ例や、やり方のコツについても解説しています。
またジャーナリングの注意点にも触れているので、実践しようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
書く瞑想「ジャーナリング」とは?意味を簡単に解説
そもそもジャーナリングとは、英語で日記を意味する「journal」が由来になっています。頭に浮かんだことを、ありのまま書き出すという方法です。
「今この瞬間」に感じたことを書き出すのは、自己理解を深めることにつながります。また書くという作業に意識を向けるため、マインドフルな状態になれるのも特徴のひとつです。
そのためジャーナリングは、書く瞑想とも呼ばれています。まるで日記のような感覚なので、誰でも実践しやすいでしょう。
ジャーナリングと日記の違い
ジャーナリングと日記の違いは、目的とやり方にあります。
まず日記の場合、1日の出来事や行動を記録することが目的です。その日にあったことを思い出しながら、文章にまとめます。
一方でジャーナリングは、自分の状態に気づくことが目的です。頭に浮かんだ言葉をそのまま書き出すので、文章にまとめる必要がありません。
日記 | 【目的】1日の出来事や行動を記録すること 【やり方】その日にあったことを文章にまとめる |
ジャーナリング | 【目的】自分の状態に気づくこと 【やり方】頭に浮かんだ言葉をそのまま書き出す |
目的とやり方が違うと、期待できる効果も異なります。そのためジャーナリングと日記の違いを、正しく理解しておくことが大切です。
書く瞑想「ジャーナリング」の効果とは?
ジャーナリングに期待できる効果は、マインドフルネスとほぼ同じです。ここでは5つに分けて、その効果について解説していきます。
- ストレス耐性の向上
- 免疫力の向上
- 睡眠の質の改善
- 不安の減少
- 集中力の向上
深く洞察することでストレス耐性が向上する
ジャーナリングは言葉を書き出すことに時間をかかるので、深く洞察ができます。そのため、自分の思考や考え方に気づき、客観的に見ることができます。
また書いている瞬間に意識を向けることで、過去の後悔・将来の不安と、一時的に距離を置くことができます。それにより、ストレス耐性の向上につながります。
ストレス軽減によって免疫力が向上する
ストレスのかかった状態が長期間続くと、からだの免疫システムに悪影響を与えます。その結果、病気に対する抵抗力も弱まってしまうでしょう。
しかしジャーナリングを行うと、ストレスを軽減させ、免疫システムを正常に機能させる環境が整います。そのため、免疫力が向上すると考えられています。
頭と心を整理することで睡眠の質が改善する
寝る前に1日の反省をしたり、明日のことを考えたりすると、なかなか入眠できません。また脳が活性した状態だと、ゆっくり休むことができず、疲れも取れないでしょう。
しかしジャーナリングを行うと、考えていることを視覚化できるので、頭の中で整理しやすくなります。また書いている瞬間に集中することで、心が落ち着く状態も作り出せます。
これにより入眠しやすくなるので、睡眠の質が改善する効果を期待できるわけです。
不安が減少して自信を持てるようになる
「今この瞬間」に意識を向けるのは、マインドフルネスと同じです。そのため、メンタルケアの方法としてもジャーナリングは注目されています。
ジャーナリングでは、後悔・不安などの感情も、ありのまま書き出すのが特徴です。そのためトレーニングを続ければ、ネガティブな思考パターンも変えることができます。
また習慣化して「書くことを継続できている」という自信が持てるようになれば、セルフイメージの向上にもつながります。
集中力がアップして作業効率が良くなる
ジャーナリングを繰り返すと、意識的に「今この瞬間」に注意を向けられるようになるので、集中力がアップします。
また不安や焦りなど、集中を妨げる感情・思考もコントロールできるようになります。その結果、あなたのパフォーマンスも向上するでしょう。
作業の効率化という意味でも、ジャーナリングは役立ちます。
書く瞑想「ジャーナリング」ジャーナリングのやり方
ではここから、ジャーナリングのやり方について紹介します。
本によって異なる部分もありますが、基本的なジャーナリングのやり方は同じです。ぜひ自分に合う方法で試してみてください。
1、始める前に気持ちを落ち着かせる
ジャーナリングを始める前には、深呼吸をしたり、瞑想・ストレッチをしたりするのがおすすめです。気持ちをリラックスさせて、書くことに意識を向ける準備をします。
リラックスした状態で行わないと、言葉はなかなか思い浮かびません。また「こんなことは書かない方が良い」などと考えてしまうと、ジャーナリングの意味がなくなってしまいます。
2、紙やノートに思ったことをありのまま書き出す
気持ちが落ち着いたら、ありのままの気持ちを書き出してみてください。テーマを決めても良いですが、形式は特にないので、思い浮かんだことをそのまま表現してみましょう。
またジャーナリング中は、タイマーをかけておくのがおすすめです。5〜15分を目安に、制限時間を決めておくことで、だらだら書き続けることを防げます。
実施するなら毎日朝起きてすぐか、夜寝る前をおすすめします。継続するほど自己理解も深まるので、自分のやりやすいタイミングを探してみてください。
3、定期的に書いた内容を振り返る・整理してみる
ジャーナリングの内容は、1ヶ月に1回を目安に、振り返ることも大切です。頭の中がごちゃごちゃしているときは、1週間に1回の頻度でもよいでしょう。
どんな行動・感情が多かったのかを確認することで、新しい気づきがあるかもしれません。その気づきもジャーナリングしてみると、自己理解をさらに深められます。
ジャーナリングのテーマ例を紹介!お題のテンプレートも
ジャーナリングのやり方には、テーマに沿って言葉を書き出す方法もあります。
ここでは、ジャーナリングのテーマ例をまとめてみました。すべて書く必要はありませんが、お題のテンプレートとして参考にしてみてください。
1日の振り返りに関するテーマのお題
- 今日気分が上がったことは何ですか?
- 今日気分が下がったことは何ですか?
- 印象に残っていることはありますか?
- いつもと違うことはありましたか?
- 何か新しいことはありましたか?
自分に関するテーマのお題
- 自分が好きなことは何ですか?
- 自分が尊敬するのはどんな人ですか
- 自分が癒されるのはどんなときですか?
- 自分は3年後や5年後にどうなりたいですか?
- 自分の嫌いなことはどんなことですか?
- 自分のやりたくないことはありますか?
- 自分が大切にしていることは何ですか?
- 自分のことをどう思いますか?
- いま不安に思っていることはありますか?
- 最近疲れたと思うことはありましたか?
- 休みの日はどんなことをしたいですか?
- 過去の自分に伝えたいことはありますか?
仕事に関するテーマのお題
- 今の仕事を選んだ理由は何ですか?
- 今の仕事で得意なことはありますか?
- 今の仕事で苦手なことはありますか?
- 今の仕事は充実していますか?
- 仕事で困っていることはありますか?
- 今の仕事を続けたいと思いますか?
- やりがいを感じるのはどんなときですか?
- 辛いと感じるのはどんなときですか?
- 3年後や5年後は何をしていると思いますか?
人間関係に関するテーマのお題
- パッと思い浮かぶ人は誰ですか?
- 相性が合うと思うのはどんな人ですか?
- 自分が苦手だと思うのはどんな人ですか?
- 大切な人なら今のあなたに何と言いますか?
- 自分と大切な人との共通点や違い何ですか?
- いま大切な人に何を伝えたいですか?
- 相手に変えてほしいと思うことは何ですか?
- 本音で話したい人はいますか?
効果ないと感じたら!ジャーナリングのやり方のコツ
ジャーナリングの書き方や内容にこだわらない
ジャーナリングでは、言葉を選んだり、文章をまとめたりする必要はありません。あくまでも思いついた言葉を、そのまま書き出すようにしてください。
またジャーナリングの内容を評価すると、ありのままの表現ができなくなってしまいます。そのため、あなたが書き出した内容には「正解も間違いもない」と思うことが大切です。
継続するためにやる場所やタイミングを決めておく
ジャーナリングは、短期間で効果を実感できるものではありません。継続することが大切なので、場所やタイミングを決めておくことをおすすめします。
たとえば「朝の仕事前に近くのカフェで書く・夜の歯磨きが終わった後にリビングで書く」などです。すでに習慣になっている行動とセットにすると、継続しやすいでしょう。
難しいときは専用のノート・アプリを活用する
ジャーナリングには、専用のノートも販売されています。書きやすいようにノートのリングがなかったり、テーマが書かれていたりするのでおすすめです。
またスマホで書き出したい人向けに、ジャーナリングのアプリも用意されています。メモ帳を使うよりも管理しやすいメリットがあるので、ぜひチェックしてみてください。
ジャーナリングのデメリット・注意点
ジャーナリングの効果には個人差がある
ジャーナリングをやってみると、ふと自分の思考や感情に気づき、自己理解を深めるきっかけになります。しかし、そのタイミングは人それぞれです。
そのため、すぐに効果を実感できる人もいれば、時間がかかる人もいるでしょう。まずは自分に合うやり方を見つけて、ジャーナリングの習慣化を目指してみてください。
辛い経験を思い出して気分が悪くなる場合も
ジャーナリングを行なうと、嫌な記憶が浮かんでくることもあります。そこからトラウマや辛い経験を思い出してしまうと、強い不快感を感じるでしょう。
そのまま続けると辛さが増したり、嫌な感情だけが残ったりして、逆効果になってしまうかもしれません。またジャーナリングのやり方が、自分に合っていないことも考えられます。
うつ病など治療中の人は無理をしない
うつ病などの精神疾患を持っている人は、注意が必要です。その人の症状によっては、状態が悪化するリスクもあります。
ジャーナリングが負担になってしまう場合、無理をしないことが大切です。もし不安な人は、一度専門家に相談してから実施することをおすすめします。
ジャーナリングに関するよくある質問
書く瞑想「ジャーナリング」のやり方・効果・テーマ例まとめ
今回はジャーナリングの効果・やり方について、わかりやすくまとめてみました。
ジャーナリングとは「頭に浮かんだことをありのまま書き出す方法」で、Googleなどの企業でも導入されています。そのため、その効果も注目を集めています。
やり方も簡単で、初心者はテーマ例に沿って行なうと良いでしょう。ただしジャーナニングの効果には個人差があり、人によってはデメリットもあるので注意が必要です。
ジャーナリングについて理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
ジャーナリングの参考書籍
ジャーナリングに関する書籍として、『書く瞑想』や『心のモヤモヤを書いて消すマインドフルネスノート』などがあります。
『書く瞑想』は、1日15分のやり方が丁寧にまとめられています。実践した人が書いた内容なども紹介されているのが特徴です。
『心のモヤモヤを書いて消すマインドフルネスノート』は、実際に書き込めるワークブック形式になっています。テーマの数は全56個で、1日5分、1つずつ進めるという内容でした。
どちらも多少の違いはありますが、基本的なジャーナリングのやり方は同じなので、ぜひチェックしてみてください。
※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。
※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名を明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします(詳しくは「引用・著作権について」をご確認ください)。