エディプスコンプレックスとは?心理学の意味や解消法をわかりやすく解説

エディプスコンプレックスとは

エディプスコンプレックスとは、3〜6歳ごろに見られる無意識的な葛藤のことです。異性の親への性愛と、同性の親への敵対心を表しますが、この考え方に対する批判もあります。

エディプスコンプレックスとは

そこで今回は、エディプスコンプレックスとは何か、簡単にまとめました。由来となった話や、克服・解消法などもわかりやすく紹介しています。

また男性と女性で、意味や解消する方法が異なるので注意が必要です。エディプスコンプレックスの具体例も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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エディプスコンプレックスとは?意味をわかりやすく解説!

そもそもエディプスコンプレックスとは、心理学者のジークムント・フロイト(Sigmund Freud)が提唱した概念です。日本語訳で、エディプス複合と呼ばれることもあります。

【エディプスコンプレックスとは】
人間の無意識内に存在する異性の親に対する性愛と、同性の親に対する敵対心のこと。心理学者のフロイトが提唱したもので、主に男根期(3〜6歳ごろ)に見られる。

フロイトは神経症の症例をもとにして、男性の無意識内には、母親を愛の対象とする衝動があると考えました。同時に、父親に対する敵対心も存在するとも判断します。

そしてフロイトは、あらゆるコンプレックスの根源的なものとして、エディプスコンプレックスを仮定するようになります。

エディプスコンプレックスの見られる時期はいつ?

フロイトはエディプスコンプレックスの時期について、男根期と呼ばれる3〜4歳ごろから生じると考えました。

男根期とは、性的エネルギー(リビドー)が性器に集中して、自分の性器に興味を持ち始める時期のことです。ペニスのあり・なしで、性別の違いを認識できるようにもなります。

この頃はエディプスコンプレックスを感じる一方で、父親に対する愛情もあります。そのため、敵対心をもつことへの罪悪感や葛藤を男児は感じるでしょう。

ただし6歳ぐらいまでには、男児は父親への敵対心を抑圧して、父親に同一化することでその葛藤を乗り越えていきます。このとき、エディプスコンプレックスが完全に消えたわけではなく、無意識内には存在しています。

エディプスコンプレックスの由来になったギリシャ神話

エディプスコンプレックスの由来は、ギリシャ神話だと言われています。主人公のオイディプスが、相手が父親であるとは知らずに殺してしまい、母親と結婚する物語です。

この母親への愛情と、父親への敵対心が、男性の無意識内に存在するとフロイトは考えます。その抑圧に伴って生成されるものを、エディプスコンプレックスと名付けました。

ちなみにこの神話をもとにして、ソポクレスが「オイディプス王」を書いていますが、内容はほとんど同じになります。

女性の場合は「エレクトラコンプレックス」とも

エディプスコンプレックスとエレクトラコンプレックスの違い

女性の場合は、母親を殺して父親と結婚しようとする願望になります。これにも由来になったギリシャ神話があり、その主人公の名前をもとにして、エレクトラコンプレックスと呼ばれています。

女性にとっても、最初の愛の対象は母親になります。ただし男根期になり、自分にペニスがないと気づくと、ペニスをくれなかった母親を恨むようになるのです(ペニス羨望)。

ただしエディプスコンプレックスの広い意味として、エレクトラコンプレックスを含む場合もあります。そのためこの言葉は、簡単に覚えておく程度で良いでしょう。

エディプスコンプレックスの例を簡単に紹介!

たとえば男性の場合、エディプスコンプレックスにより、父親への憎しみを抱きます。それが残ったまま大人になると、権威的なものに対して無条件に反発してしまうことがあるでしょう。

また父親への葛藤を乗り越えるため、父親と違うもの(動物など)を代償として怖がり、大人になっても恐怖症として残るケースも考えられます。

女性の場合は、父親への愛情が非常に強くなることもあるでしょう。それにより、いくら男性から求婚されても独身を突き通す人がいるかもしれません。

エディプスコンプレックスの克服・解消法

男児の場合、エディプスコンプレックスを感じると同時に、父親から処罰されるのではという不安も抱きます。この処罰とは去勢(ペニスを切られる)のことです。

この去勢不安が反復することにより、エディプスコンプレックスは解消されるとフロイトは考えます。つまり人間の発達段階で、自然にエディプスコンプレックスは克服・解消されるということです。

そしてエディプスコンプレックスを克服できず、未解消のままだと、神経症を発症する原因になるともフロイトは仮定しています。

女児のエディプスコンプレックスの克服・解消法

女児の場合は、ペニスがないので男児と発達過程が異なります。そのため、エディプスコンプレックスの克服・解消法も変わってきます。

まずは自分にペニスがないことを自覚して受け入れるケースです。しかしこの場合、女児は劣等感を抱いてしまいます。

また自分は男であると思い、いつかペニスが生えてくることを信じながら、男性的に振る舞うケースもあるでしょう。

ほかにも出産を経験して、子供を代替的なペニスと捉えることで、エディプスコンプレックスを克服・解消するケースも考えられます。

エディプスコンプレックスへの批判も多い

フロイトによるエディプスコンプレックスの考え方に対しては、批判も多くあります。

・父親が強いということが前提になっている
・幼児が性欲をもっていると前提している
・フロイト個人の考えや経験を重視している

特にフロイトは「多くの人が近親相姦的な欲望をもっている」と主張しましたが、自身が母親への近親相姦的願望と父親への憎悪をもっていたそうです。

また「幼児に性欲がある」「神経症を発症する要因となる」などの仮定なども、統計学的な裏付けがなかったため、エディプスコンプレックス理論は批判されました。

エディプスコンプレックスの意味や解消法まとめ

今回はエディプスコンプレックスとは何か、意味や解消法を簡単にまとめました。

【エディプスコンプレックスとは】
人間の無意識内に存在する異性の親に対する性愛と、同性の親に対する敵対心のこと。心理学者のフロイトが提唱したもので、主に男根期(3〜6歳ごろ)に見られる。

エディプスコンプレックスとは、ギリシャ神話をもとにした理論で、男性・女性で意味や解消法が異なります。

ただし、エディプスコンプレックスへの批判があることも事実です。そのためあくまでも、フロイトの理論のひとつとして解釈すると良いでしょう。

エディプスコンプレックスについて学ぶ際には、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

エディプスコンプレックスの参考書籍

エディプスコンプレックスに関する書籍として、「コンプレックス」や「無意識の構造」などがあります。これは心理学者の河合隼雄による著書です。

どちらの本でも、部分的に扱われている程度ですが、意味がわかりやすく紹介されています。またアドラーとの対立や、ユングによる解釈もまとめられていました。

本の内容も200ページ程度なので、比較的読みやすいと思います。

エディプスコンプレックスの参考文献

フロイト理論におけるエディプスコンプレックス概念の形成と変遷

精神分析と科学、医学:臨床的見地から

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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