共有地の悲劇(コモンズの悲劇)とは?意味や具体例をわかりやすく解説

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)とは

共有地の悲劇(tragedy of the commons)とは、「個人の利益・社会全体の利益が対立して葛藤状態にある様子を、共有地で放牧する話にたとえて説明したもの」です。

共有地の悲劇は、主に経済学や社会心理学で活用されています。環境問題などにも関わってくることから、身近な例も多いので、意味を知っておくと良いでしょう。

そこで今回は、共有地の悲劇とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味や、具体例についても簡単に紹介しています。

また共有地の悲劇が起こる原因や、解決策にも触れているので、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。

目次-クリックで該当箇所に移動-

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)とは?心理学の意味を解説

そもそも共有地の悲劇は、アメリカの生物学者であるギャレット・ハーディンが発表しました。共有地をコモンズと呼ぶことから、コモンズの悲劇ともいいます。

これは「個人の利益・社会全体の利益が対立して葛藤状態にある様子を、共有地で放牧する話にたとえて説明したもの」になります。

具体的には「一人ひとりが自分の利益を優先すると、共有地が荒廃してしまう」という内容です。全員が共有資源を取りすぎて、枯渇した様子を想像するとわかりやすいでしょう。

ちなみに、個人の利益・社会全体の利益が対立して葛藤状態にあることを「社会的ジレンマ」といいます。共有地の悲劇も、この社会的ジレンマを表現した例のひとつです。

【共有地の悲劇(コモンズの悲劇)とは】
個人の利益・社会全体の利益が対立して葛藤状態にある様子(社会的ジレンマ)を、共有地で放牧する話にたとえて説明したもの。

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)の内容をわかりやすく説明

共有地の悲劇の内容は、ヨーロッパにある共有の牧草地で、羊飼いが放牧しているという話です。羊飼いは自分の羊を増やすほど、羊毛の収穫量が増えて、収入がアップします。

しかし一人ひとりが羊の数を増やせば、牧草はどんどん減ってしまいます。すると羊の成長が悪くなり、羊毛の収穫量も減って、収入はダウンするでしょう。

このような負のループが続くと、共有地はやがて荒廃してしまいます。これは村人全体の損失にもつながるので、ジレンマが生じるというわけです。

共有地の悲劇とあわせて覚えておきたい「囚人のジレンマ」

囚人のジレンマはゲーム理論におけるゲームのひとつで、同じく社会的ジレンマを表しています。共有地の悲劇と一緒に紹介されることもあるので、覚えておくと良いでしょう。

囚人のジレンマでは、囚人A・Bは仲間を信頼して黙秘するか、裏切って自白するかを選択します。もし片方のみが自白した場合、自白した人の刑罰が軽くなる仕組みです。

しかし両方が自白した場合、お互いに黙秘するよりも刑罰は重くなります。そのため自分の利益を選ぶのか、仲間を選ぶのか、葛藤が生じてしまいます。

【囚人B】
黙秘する
【囚人B】
自白する
【囚人A】
黙秘する
A:懲役1年
B:懲役1年
A:懲役15年
B:不起訴
【囚人A】
自白する
A:不起訴
B:懲役15年
A:懲役10年
B:懲役10年

身近で見られる共有地の悲劇(コモンズの悲劇)の具体例

共有地の悲劇の身近な例として、よく挙げられるのが環境問題です。たとえば自国の利益を増やすために工場を増やせば、大気汚染や森林破壊につながります。

また魚の乱獲なども、羊飼いの例と同じ結果になってしまうでしょう。絶滅危惧種に指定されたり、生態系が崩れたりして、漁業全体が被害を受けるかもしれません。

ほかにも日常で見られる例には、商品の買い占めがあります。これらの内容を踏まえると、共有地の悲劇を回避するためには、しっかり対策を考えることが重要だといえます。

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)の原因と解決策を簡単に紹介

共有地の悲劇の原因は、個人が自由に羊の数を増やせる点にあります。そのため荒廃が進まないように、管理者を置くのは良いでしょう。

また一人ひとりが自分の利益を優先しすぎないように、制度を決める解決方法もあります。ルールを破ったら罰金という形にしておけば、共有地を守ることにもつながります。

このとき管理者や制度に対する別のジレンマが生じないように、「社会のためになる行動=自分のためになる行動」という意識を、個人に確立させることも重要です。

もし日常生活において、共有地の悲劇のような例が起こった際には参考にしてみてください。

共有地の悲劇(コモンズの悲劇)の意味・具体例・解決策まとめ

今回は心理学の共有地の悲劇について、わかりやすくまとめました。

共有地の悲劇の意味は、以下のとおりです。一人ひとりが自分の利益を優先すると、共有地が荒廃してしまうという内容で、コモンズの悲劇とも呼ばれています。

【共有地の悲劇(コモンズの悲劇)とは】
個人の利益・社会全体の利益が対立して葛藤状態にある様子(社会的ジレンマ)を、共有地で放牧する話にたとえて説明したもの。

特に環境問題は、共有地の悲劇の具体例としてよく挙げられます。問題の深刻化を回避するためにも、原因と解決策はチェックしておくと良いでしょう。

共有地の悲劇の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

共有地の悲劇に関係する参考文献

共有地の悲劇とゲーム理論

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

※文章や画像を引用していただいても構いません。その際にはサイト名・タイトルを明記のうえ、該当記事へ飛べるようにURLの設置をお願いいたします。

目次-クリックで該当箇所に移動-