マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とは、「マインドフルネス瞑想をもとにしたストレス低減プログラム」のことです。
特に行動医学の分野で注目されており、教育現場や企業にも導入されています。そのため、効果・やり方が気になる人もいるでしょう。
そこで今回は、マインドフルネスストレス低減法について、簡単にまとめてみました。臨床体験にもとづいた効果・やり方なども、わかりやすく紹介しています。
またマインドフルネスストレス低減法の、8週間プログラムの内容にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とは
そもそもマインドフルネスストレス低減法とは、アメリカのジョン・カバットジン博士が開発した、ストレス低減プログラムのことです。
マインドフルネス瞑想を取り入れていることから、MBSR(Mindfulness Based Stress Reduction)とも呼ばれています。
【マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とは】
マインドフルネス瞑想をもとにしたストレス低減プログラムのこと。ジョン・カバットジン博士が開発したもので、8週間のプログラムになっている。
このプログラムは、身体的・精神的な痛みとうまく付き合うことを目的にしています。それにより、ストレスの軽減を目指すという内容です。
8週間かけて行なうのが基本的なやり方ですが、さまざまな効果を期待できます。そのため医療機関だけでなく、教育現場・企業などでも実施されているのが特徴です。
マサチューセッツ大学医学部の臨床体験に基づいている
ジョン・カバットジン博士のルーツは、分子生物学です。しかし仏教瞑想に興味を持ち、実際に瞑想修行をした経験もあります。
そして1979年に、その経験を活かし、マサチューセッツ大学医学部に「ストレス低減・リラクセーションプログラム(SR & RP)」を実施するセンターを作りました。
このプログラムが、マインドフルネスストレス低減法のもとになっています。そこでの臨床体験に基づいて、効果・やり方なども説明していきます。
※SR & RP:the Stress Reduction & Relaxation Program
※現在はマサチューセッツ大学のマインドフルネスセンターの中に、プログラムを行なうストレスクリニックがあります。
マインドフルネスストレス低減法の効果
マインドフルネスストレス低減法は、心臓病・癌で苦しんでいる患者や、慢性的な痛み・不眠症で悩んでいる患者など、あらゆる人を対象にしてきました。
その結果、痛みが和らいだり、不安や怒りなどの感情をコントロールできるようになったりしたそうです。また自分に対して、自信が湧いてくるという効果も見られました。
特に現在は、多くの人がストレスを抱えており、それが原因で体調を崩すこともあります。そのためマインドフルネスストレス低減法の効果は、あらゆる分野で注目を集めています。
- ストレス
- 不安障害
- ASD/PTCD
- 癌
- 線維筋痛症/リウマチ
- 心身症
- 免疫機能/HIV/AIDS
- 疼痛
- 抑うつ/うつ予防
- 気分障害
- 小児心理障害
- 医療疾患
- 緩和ケア
- 臓器移植
参照:マインドフルネス入門講義
マインドフルネスストレス低減法のやり方
ここからは、マインドフルネスストレス低減法のやり方について解説します。
8週間プログラムのなかで紹介されている、代表的な瞑想方法をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
呼吸法
マインドフルネスストレス低減法の呼吸法では、1日1回、10分間は呼吸に集中します。トレーニングを重ねれば、30分以上続けられるようになるでしょう。
また慣れてきたら、呼吸と体の一体感を味わってみてください。音を感じたり、浮かんでくる思考に意識を向けたりするのもおすすめです。
静座瞑想法
マインドフルネスストレス低減法の静座瞑想法には、「正式なトレーニング」と「普通のトレーニング」があります。
静座瞑想法の正式なトレーニングでは、毎日15分、1週間は続けるようにします。姿勢はあおむけに寝ても、椅子に座っても構いません。
普段のトレーニングでは、1日に何回か、呼吸に注意を向けるようにしましょう。場所を選ばず、気軽にできるのがポイントです。
ボディスキャン
ボディスキャンは、あおむけの状態で行ないます。足のつま先から足裏・かかと・甲・足首と、意識を向ける場所を徐々に移していきましょう。
その後は、体のほかの部位でも試してみてください。ストレスクリニックでは、最低2週間、週に6日行なっており、1日45分ほどの時間をかけています。
ヨーガ瞑想法
ヨーガ瞑想法を始めるときには、床の上にマットを敷いておきます。腹部の呼吸に意識を向けながら、さまざまなポーズをとってみましょう。
このとき痛みを感じるほど、体を伸ばす必要はありません。あくまでも瞑想方法のひとつなので、無理のない範囲で行なうことが大切です。
歩行瞑想
マインドフルネスストレス低減法では、歩きながら瞑想する方法も紹介されています。足裏がついている感覚や、地面を蹴っている感覚など、1歩に注意を向けてください。
歩行瞑想は、日常生活にも取り入れやすいのが特徴です。身体の感覚だけでなく、日の光・自然のにおい・風の冷たさにも意識を向けてみましょう。
マインドフルネスストレス低減法の8週間プログラム
マインドフルネスストレス低減法は、通常8週間のプログラムで行ないます。資格所有者によるオンライン講座もあるので、気になる人はチェックしてみると良いでしょう。
ここではプログラムの内容を、簡単にまとめてみました。
1〜2週目 | ボディスキャンが中心 |
3〜4週目 | ボディスキャンとヨーガ瞑想法 |
5〜6週目 | 静座瞑想法とヨーガ瞑想法 |
7週目 | 自由に組み合わせる |
8週目 | 自分に合わせてプログラムを作る |
マインドフルネスストレス低減法は、約2ヶ月しっかり続けることが必要です。そのため仕事で忙しい人や、子育て・介護をしている人は、継続するのが難しいかもしれません。
これは、マインドフルネスストレス低減法の課題でもあります。しかし瞑想方法のなかには、気軽にできるやり方もあるので、まずは自分でやってみるのもおすすめです。
マインドフルネスストレス低減法の効果・やり方まとめ
今回はマインドフルネスストレス低減法(MBSR)について、簡単にまとめてみました。
マインドフルネスストレス低減法の意味は、以下のとおりです。さまざまな効果を期待できるため、医療機関・教育現場・企業などでも導入されています。
【マインドフルネスストレス低減法(MBSR)とは】
マインドフルネス瞑想をもとにしたストレス低減プログラムのこと。ジョン・カバットジン博士が開発したもので、8週間のプログラムになっている。
基本的なやり方は、8週間のプログラムになっています。継続することが大切なので、難しい場合は、自分ができそうな瞑想方法を試してみるのが良いでしょう。
マインドフルネスストレス低減法について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
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マインドフルネスストレス低減法の参考文献
マインドフルネスストレス低減法に関する書籍として、「マインドフルネスストレス低減法」「マインドフルネス入門講義」などがあります。
「マインドフルネスストレス低減法」は、ジョン・カバットジン博士が著者の本です。実際のデータや、効果・やり方、8週間プログラムの内容なども紹介されています。
「マインドフルネス入門講義」は、大谷彰教授が著者の本です。マインドフルネスの歴史的背景に触れながら、第3世代の行動療法として、MBSRについても解説されていました。
気になる人はぜひ一度チェックしてみてください。
マインドフルネスストレス低減法の参考文献
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