人間のしぐさや、動物の行動を研究した「行動心理学」。ビジネスや恋愛をはじめ、日常生活でも役立つことから人気を集めています。
しかし行動心理学の本には、初心者向けの入門書から人気ベストセラーまで、さまざまな種類があります。そのため選ぶときに、どれが良いのか迷ってしまう人もいるでしょう。
そこで今回は、行動心理学本のおすすめをまとめてみました。全冊購入して、それぞれの特徴を解説しています。
また読みやすさについては、実際にかかった時間をもとに、ランキング形式で評価しています。行動心理学のおすすめ本を探すときには、ぜひ参考にしてみてください。
厳密には「行動心理学」という分野はありませんが、ここでは「行動に関する心理学」として、以下のような本を紹介しています。
- しぐさや行動から相手の心理を読み解く本
- 環境と行動の関係性からその法則を研究した本(行動分析学)
- 人の経済行動を心理学の視点で研究した本(行動経済学)
- 経験によって行動が変容する様子を研究した本(学習心理学)
行動心理学本のおすすめの選び方
勉強したい内容に合った行動心理学本を選ぶ
行動心理学本の内容は、大きく2種類に分けられます。具体的には「人間のしぐさ・行動」について書かれた本と、「行動の強化の仕組み」をまとめた本です。
人間のしぐさ・行動について書かれた本では、主に心理テクニックが紹介されています。相手の気持ちを理解しやすくなるので、日常生活にも役立つでしょう。
一方で行動の強化の仕組みをまとめた本には、行動主義者の名前・歴史などが書かれています。行動分析学・学習心理学など、学問として勉強したい人向けです。
それぞれの内容は大きく異なるので、自分にあった行動心理学本を選ぶようにしてください。
初心者にはイラスト多め・索引のある入門書がおすすめ
イラストの多い行動心理学本は、具体的にイメージしやすいのが特徴です。なかにはページの半分以上が、図解になっているタイプもありました。
このような行動心理学本なら、初心者でも内容を理解しやすいでしょう。文字数も少なめなので、読むのが苦手な人でも時間はかからないと思います。
もし学問として勉強するなら、巻末に索引のある行動心理学本がおすすめです。人物名や専門用語から逆引きできるので、知りたいことをすぐに確認できますよ。
人気ベストセラーは口コミも確認しておく
行動心理学本には、人気ベストセラーの書籍もあります。Amazonの評価を調べてみると、何千件という口コミが書かれている本もありました。
そのため購入する前に、一度確認しておくと安心でしょう。本の要約や感想など、詳しくまとめられているレビューは参考になると思います。
ちなみに行動心理学本によっては、導入から目次あたりまで試し読みもできます。口コミで高評価でも、自分に合うとは限らないので、まずは最初だけ読んでみるのもおすすめです。
おすすめの行動心理学本を紹介!
今日から使える行動心理学
著者 | 齊藤 勇 |
出版社 | ナツメ社 |
ページ数 | 264ページ |
大きさ | 縦:18.9cm 横:13cm 厚さ:2.2cm |
参考価格 | 1,320円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- 人のしぐさから読み取れる本心を解説
- イラストやマンガがあるので読みやすい
- ページの下に心理学用語の注釈もある
人のしぐさを解説した初心者向けの行動心理学本
『今日から使える行動心理学』は、人間のしぐさから読み取れる本心をまとめた行動心理学本です。主に恋愛心理学や対人心理学を研究している、齊藤勇教授が執筆しています。
分厚い本ですが、イラストも多いのでスラスラ読めるでしょう。行動心理学に関わる専門用語についても、ページの下に注釈があるので、わかりやすいと感じました。
ただし「皇居ランをする人はすごいと思われたい」など、少し疑問を感じるような内容もあります。個人的には、そうとは限らないと思ったので、決めつけないようにすることが大切です。
それでも行動心理学の導入としてはおすすめできる本なので、気になる人はチェックしてみてください。
なぜ、あの人は予測を裏切るのか
監修 | 匠 英一 |
出版社 | 青春出版社 |
ページ数 | 144ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約1cm |
参考価格 | 1,430円 |
読書時間の目安 | 約30分 |
- しぐさ分析の専門家が監修している
- 目次で行動心理学の用語がまとめられている
- 文字のサイズも大きくて読みやすい
ビジネスやコミュニケーションに役立つ55の方法を紹介
『なぜ、あの人は予測を裏切るのか』は、しぐさ分析の専門家としてテレビに出演することもある、匠英一先生が監修した本です。人間の行動から心を読み解く方法が、全部で55個紹介されています。
目次を見ると専門用語の一覧があり、どのような行動心理学に触れられているのか、一目でわかるようになっていました。それぞれ図解と具体例があるので、初心者でも理解しやすいと思います。
また文字のサイズも大きく、読みやすいところも特徴のひとつです。ビジネスやコミュニケーションの場面で役立つ内容が書かれているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由
著者 | 杉山尚子 |
出版社 | 集英社新書 |
ページ数 | 192ページ |
大きさ | 縦:約17cm 横:約11cm 厚さ:約1cm |
参考価格 | 924円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- 日本の行動分析学の第一人者が著者
- 行動の強化の仕組みを簡潔に解説している
- 持ち運びにも便利な大きさの本
小さいサイズで簡潔にまとめられた行動分析学の入門書
『行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由』は、日本の行動分析学の第一人者とも呼べる、杉山尚子教授が執筆しています。
表紙を見ると、ビジネスに役立つ心理テクニックなどが書かれているような感じもします。しかし内容は、学問として勉強したい人向けの行動心理学本です。
前半の内容は、行動の強化の仕組みが簡潔にまとめられています。後半では、言語行動についても解説されていました。
小さいサイズで本も薄いので、持ち運びにも便利でしょう。行動分析学の入門書としてもおすすめできる一冊です。
人を動かす
著者 | D・カーネギー |
翻訳 | 山口 博 |
出版社 | 創元社 |
ページ数 | 320ページ |
大きさ | 縦:15cm 横:10.4cm 厚さ:1.4cm |
参考価格 | 880円 |
読書時間の目安 | 約6時間 |
- 世界中で翻訳されている人気ベストセラー
- 歴代大統領や心理学者のエピソードを紹介
- 人間関係を築くうえで重要なことが書かれている
人間関係の悩みを解決するための行動が書かれた本
『人を動かす』は、世界中読まれている人気ベストセラー本で、デール・カーネギー氏が執筆しています。歴代大統領や心理学者など、さまざまな偉人のエピソードをもとに解説されているのが特徴です。
人間関係が主なテーマで、人を動かす原則・人に好かれる原則・人を説得する原則・人を変える原則という4つに分かれています。どれも難しいことは言っていないので、日常生活でも実践しやすいでしょう。
文字数が多いので、初心者には抵抗があるかもしれませんが、ためになる内容と思います。世界を代表する企業の話もあるので、ビジネスに役立つ行動心理学本を探している人にもおすすめです。
嫌われる勇気
著者 | 岸見一郎 古賀史健 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
ページ数 | 296ページ |
大きさ | 縦:18.9cm 横:13.1cm 厚さ:1.5cm |
参考価格 | 1,650円 |
読書時間の目安 | 約3時間 |
- アドラー心理学を解説した名著
- Amazonの口コミでも高評価
- ストーリーが面白いので読みやすい
アドラー心理学が有名になったきっかけの名著
『嫌われる勇気』は、Amazonの口コミでも高く評価されているベストセラー本です。この本がきっかけで、アドラー心理学を知ったという人も多いでしょう。
アドラー心理学では、「人間の行動には目的がある(目的論)」を採用しています。今の状況を作り出しているのは、何か目的があるという考え方です。
「〇〇が原因で失敗した」のような原因論とは違うので、物事を別の視点で捉えられるかもしれません。内容は対話形式になっており、初心者でもスラスラ読めると思います。
影響力の武器
著者 | ロバート・B・チャルディーニ |
翻訳 | 社会行動研究会 |
出版社 | 誠信書房 |
ページ数 | 492ページ |
大きさ | 縦:19.8cm 横:13.6cm 厚さ:3.2cm |
参考価格 | 2,970円 |
読書時間の目安 | 約8時間 |
- 世界中で読まれている人気ベストセラー
- さまざまな社会心理学の実験・事例を紹介
- 各章にまとめと設問があるので理解が深まる
社会で見られる出来事や行動を科学的に証明した本
『影響力の武器』は、社会心理学者のロバート・B・チャルディーニ氏が著者の本です。世界中で読まれている名著としても知られています。
見た目はビジネス書のようですが、返報性の原理やフット・イン・ザ・ドア・テクニックなどの心理学用語を用いて、社会の出来事を科学的に解説していました。
また有名な心理学実験や、日常生活で見られる事例も紹介されています。本は分厚く、ページ数もかなり多めですが、読む価値はあるでしょう。
各章にまとめと設問があるのも、特徴のひとつです。ただ読むだけで終わるのではなく、社会で見られる行動の仕組みを理解できる本だと思います。
眠れなくなるほど面白い社会心理学
監修 | 亀田 達也 |
出版社 | 日本文芸社 |
ページ数 | 128ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:14.9cm 厚さ:1cm |
参考価格 | 935円 |
読書時間の目安 | 約1時間 |
- 社会のなかで見られる人々の行動を解説
- 心理学の研究も多く紹介されている
- 図解ページがあるので誰でも読みやすい
社会で見られる人々の行動を心理学の視点で解説
『眠れなくなるほど面白い社会心理学』は、心理学の研究をもとに、社会のなかで見られる人々の行動についてまとめられています。
右ページで解説、左ページで図解という構成になっているのが特徴です。文字数も少なく、簡潔にまとめられているので、誰でも読みやすいでしょう。
観察学習・アイヒマン実験・スタンフォード監獄実験のような心理学実験もあれば、渋谷のハロウィンの暴徒化・ネットで炎上する理由なども書かれています。
また『影響力の武器』の本に書かれている心理学実験も紹介されており、個人的にはわかりやすいと思いました。社会心理学というタイトルですが、行動心理学本としてもおすすめなので、ぜひ一度チェックしてみてください。
マンガでわかる!心理学超入門
監修 | ゆうきゆう |
出版社 | 西東社 |
ページ数 | 288ページ |
大きさ | 縦:約19cm 横:約13cm 厚さ:約2.5cm |
参考価格 | 1,100円 |
読書時間の目安 | 約2時間 |
- 精神科医が監修している漫画本
- ビジネスや恋愛に役立つ内容を紹介
- それぞれの章ごとに解説ページもある
高校生や大学生にもわかりやすい心理学の漫画本
『マンガでわかる!心理学超入門』では、人間のしぐさや行動に関わる心理学が、漫画形式で簡潔にまとめられています。精神科医のゆうきゆう先生が監修している本です。
営業の仕事の悩みや人間関係をテーマにした物語なので、ビジネス・恋愛に役立つ内容が多く紹介されていました。全部で10章に分かれており、それぞれに解説ページもあります。
そのため本が分厚く、結構読み応えもあるように思いました。初心者であれば、漫画の部分だけ読むのもおすすめです。
行動分析学入門
著者 | 杉山尚子 島宗理 佐藤方哉 リチャード・W・マロット マリア・E・マロット |
出版社 | 産業図書 |
ページ数 | 388ページ |
大きさ | 縦:25.7cm 横:18.4cm 厚さ:2.2cm |
参考価格 | 3,960円 |
読書時間の目安 | 約8時間 |
- 物語形式で具体的に解説している
- 図表もあって内容がわかりやすい
- 好子・嫌子で行動の仕組みを説明
強化の仕組みを学びたい人にはおすすめの行動心理学本
『行動分析学入門』は、行動の強化の仕組みを丁寧にまとめた本です。教科書のような大きさで文字数も多く、学問としてしっかり勉強したい人向けだといえます。
この本は行動分析家の主人公が、さまざまな問題を解決するという物語になっています。専門用語の解説もありますが、あまり堅苦しい感じはしません。
ただし行動分析家としての視点で書かれており、心に焦点を当てる「臨床心理的な考え方」には否定的です。その点は本を読むときに、少し気になりました。
それでも図表や具体例が多く、内容も理解しやすいでしょう。特に「正の強化・負の強化」を、「好子・嫌子」という言葉で説明しているのが印象的で、とてもわかりやすいと思いました。
※改訂版では、現在の多様的な考え方に合わせて、物語の内容が少し変わっています。
サクッとわかるビジネス教養 行動経済学
監修 | 阿部 誠 |
出版社 | 新星出版社 |
ページ数 | 167ページ |
大きさ | 縦:18.8cm 横:13.1cm 厚さ:1.4cm |
参考価格 | 1,320円 |
読書時間の目安 | 約40分 |
- 行動経済学について簡潔にまとめられている
- 専門用語もわかりやすく解説している
- イラストの割合が多くてイメージしやすい
全ページフルカラーで内容も理解しやすい一冊
『サクッとわかるビジネス教養行動経済学』は、東京大学の阿部誠教授が著者の本です。全ページフルカラーで、重要ポイントも目立つように書かれています。
読んでみると、日常のあるゆるシーンに、行動経済学が活用されていることがわかります。プロスペクト理論・ナッジ理論などにも触れられていますが、とてもわかりやすく説明されていると思いました。
イラストの割合が、ページの半分以上を占めており、具体的にイメージしやすくなっています。簡潔にまとめられているので、内容も理解しやすいでしょう。
パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史
著者 | アダム・ハート=デイヴィス |
翻訳 | 山崎 正浩 |
出版社 | 創元社 |
ページ数 | 176ページ |
大きさ | 縦:21cm 横:15.4cm 厚さ:1.6cm |
参考価格 | 1,980円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- さまざまな心理学実験の内容を紹介
- それぞれ数ページで簡潔にまとめられている
- 年代・研究者・研究領域・結論が一目でわかる
勉強を始めたばかりの初心者でも読みやすい行動心理学本
『パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史』では、生物の行動を研究した、さまざまな心理実験の方法が紹介されています。
ひとつの実験あたりに、解説ページは3〜4ページほどです。それぞれが簡潔にまとめられており、年代・研究者・心理学の分野・概要も書かれていました。
本はフルカラーなのですが、リアルな挿絵が特徴的で、好みは分かれるかもしれません。ただ内容自体はわかりやすく、学生や初心者にもおすすめできる行動心理学本だと思います。
学習の心理
著者 | 実森 正子 中島 定彦 |
出版社 | サイエンス社 |
ページ数 | 291ページ |
大きさ | 縦:18.8cm 横:13cm 厚さ:1.4cm |
参考価格 | 1,650円 |
読書時間の目安 | 約1.5時間 |
- 授業のテキストとしても使われている
- 基礎から応用レベルまで対応できる
- 条件づけの仕組みが詳しく解説されている
行動のメカニズムを学生向けにまとめた本
『学習の心理』は、大学生や短大生向けのテキストとなってます。行動のメカニズムについて、図表でわかりやすく解説されているのが特徴です。
読んでみると、基礎的な学習理論だけでなく、応用レベルの内容まで書かれていると感じました。行動実験の内容・結果なども、詳しく説明されています。
全10章のうち、半分以上が古典的条件づけ・オペラント条件づけの内容です。ほかにも観察学習や、長期記憶・短期記憶のことが触れられているので、ぜひ一度チェックしてみてください。
習慣の力
著者 | チャールズ デュヒッグ |
翻訳 | 渡会 圭子 |
出版社 | 早川書房 |
ページ数 | 422ページ |
大きさ | 縦:15.7cm 横:10.6cm 厚さ:1.6cm |
参考価格 | 1,122円 |
読書時間の目安 | 約5時間 |
- 習慣の仕組みをわかりやすく解説
- 内容が面白いので読みやすい
- ビジネスや日常生活にも役立つ内容
悪い癖や行動パターンを変えたいと思っている人にもおすすめ
『習慣の力』は、ある行動パターンが習慣化するまでの仕組みや、成功している企業の習慣を解説した人気ベストセラーです。
文字数・ページ数は多めですが、著者がジャーナリストということもあり、面白く読めると思います。具体的な行動実験も書かれているので、勉強になるでしょう。
個人的には、ファブリーズがヒットした理由が印象的でした。また付録として、自分の習慣について理解する方法や、習慣を変えるポイントも解説されています。
うまく活用すれば、悪い癖・行動パターンも変えられるかもしれません。気になる人は、ぜひ一度読んでみてみてください。
読みやすいのは?行動心理学本のおすすめランキング
約30分 | ・なぜ、あの人は予測を裏切るのか |
約40分 | ・サクッとわかるビジネス教養 行動経済学 |
約1時間 | ・眠れなくなるほど面白い社会心理学 |
約1.5時間 | ・学習の心理 ・行動分析学入門 ヒトの行動の思いがけない理由 ・パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史 |
約2時間 | ・今日から使える行動心理学 ・マンガでわかる!心理学超入門 |
約3時間 | ・嫌われる勇気 |
約5時間 | ・習慣の力 |
約6時間 | ・人を動かす |
約8時間 | ・影響力の武器 ・行動分析学入門 |
ここでは読みやすさについて、行動心理学本のおすすめランキングをまとめました。私が実際に読んでみて、かかった時間をもとに評価しています。
比較的読みやすいのは、図解のある行動心理学本で、初心者にもおすすめです。またページ数が多くても、イラストが多ければ、抵抗も少ないと思います。
あくまでも私の読むスピードが基準なので、読書時間は目安ですが、読みやすさを重視したい人はチェックしてみてください。
もし気になる行動心理学の本があれば、Amazonのレビューも合わせて確認しておくことをおすすめします。
行動心理学のおすすめ本まとめ
今回は行動心理学のおすすめ本を紹介しました。
行動心理学本はビジネスや恋愛をはじめ、あらゆる場面で活用されています。そのため内容を理解しておけば、日常生活でも役立つでしょう。
ただし行動心理学本には、初心者向けの入門書から人気ベストセラーまで、さまざまな種類があります。内容の違いもあるので、自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。
行動心理学本を探すときには、ぜひここで紹介したおすすめを参考にしてみてください。