オペラント条件づけとは?具体例や学習の仕組みをわかりやすく説明!

オペラント条件づけ(道具的条件づけ)とは

オペラント条件づけとは、「ある刺激のもとで行動することにより、行動の変容や学習が生じる」という理論です。道具的条件づけとも呼ばれています。

人間や動物は、このオペラント条件づけにより、環境に適応して行動することを学習します。そのため、どのように強化・消去されるのか、覚えておくと良いでしょう。

ここではオペラント条件づけの具体例や、学習のメカニズムをわかりやすくまとめました。また古典的条件づけとの違いも説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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オペラント条件づけとは?意味をわかりやすく説明!

オペラント条件づけ(道具的条件づけ)の意味

オペラント条件づけとは、学習プロセスに関する心理学用語です。オペラントは「操作(operation)」に由来する用語で、道具的条件づけとも呼ばれています。

これは「人間が行動の結果から学習し、報酬が与えられた場合はその行動を繰り返す」という、バラス・F・スキナーの考えがもとになっています。

【オペラント条件づけとは】
ある刺激のもとで行動することにより、行動の変容や学習が生じること。「道具的条件づけ」とも呼ばれる。

言葉の説明だけで、オペラント条件づけの意味を理解するのは難しいかもしれません。そのため具体的な実験の例を紹介しながら、簡単に説明します。

オペラント条件づけに関する心理学の実験例

ここではオペラント条件づけの具体例として、エドワード・ソーンダイクと、スキナーの心理学実験を紹介します。

それぞれどのような学習がされたのか、その仕組みに注目してみてください。

ソーンダイクの「問題箱」実験

ソーンダイクの問題箱実験

ソーンダイクの問題箱実験とは、仕掛けのある問題箱に動物を入れて、行動を観察するという実験です。

たとえばソーンダイクは、問題箱の中に猫を閉じ込めます。そして箱の上部には紐があり、引くと脱出できるような仕掛けを作りました。

最初に猫は、箱を引っ張ったり噛んだりしますが、学習すると紐を狙うようになります。最終的には、脱出まで160秒かかっていた猫が、6秒まで時間を縮めました。

ただし学習した内容をもとに、猫が脱出しようとしているとは見えなかったようです。そのためソーンダイクは、「動物が論理的な思考を用いて学習するとは言えない」と結論づけます。

このソーンダイクの問題箱の実験は、スキナーなどの心理学者にも影響を与えました。まさに、行動心理学の礎(いしずえ)になった実験といえるでしょう。

スキナーの「スキナー箱(オペラント箱)」実験

スキナー箱の実験

スキナー箱の実験とは、心理学者のスキナーが行った実験で、ラットを箱の中に入れるという内容です。その箱にはレバーがあり、レバーを押すとエサが出る仕組みになっています。

ラットは最初、箱の中を走り回るだけでしたが、押すとエサが出ることに気づきます。そして最終的には、頻繁にレバーを押すようになりました。

つまり「レバーを押す行動」によって環境が変わり(エサが出る)、その行動が強化されたわけです。スキナーはこの学習プロセスを、オペラント条件づけを呼びました。

このときラットが、「エサが欲しいから学習したのか」はわかりません。しかし「レバーを押す」という行動が強化されたことは事実です。

オペラント条件づけの具体例

オペラント条件づけによる学習は、行動療法の治療として用いられることがあります。また日常生活でもよく見られます。

たとえばあなたが、たまたま電車の先頭車両に乗った結果、席に座ることができたとします。もし次回も席が空いていれば、今後も先頭車両で乗ろうとするでしょう。

ほかにも立ち寄ったコンビニで、憧れの先輩に偶然出会えたとします。そしたらあなたは、今後も同じコンビニを利用するかもしれません。

ちなみに心拍・血圧・脳波など、自律的な反応に対しても、オペラント条件づけができます。これらは「バイオフィードバック」として知られています。

オペラント条件づけと古典的条件づけの違い

古典的条件づけとオペラント条件づけの違い

心理学用語のなかには、古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)という言葉があります。これは、刺激と刺激の関係によって生じる学習のことです

たとえば犬に対して「音を鳴らしてからエサを与える」という環境で学習させると、犬は音を聞いただけでも唾液を分泌するようになります。

両者の大きな違いは学習の仕組みです。オペラント条件づけは「弁別刺激(先行刺激) ー 行動(反応) ー 行動の結果」、古典的条件づけは「刺激と刺激の関係」によって学習が生じます。

心理学において、オペラント条件づけと古典的条件づけは混同しやすいので、勉強する際には注意しましょう。

オペラント条件づけの具体例と学習の仕組みまとめ

ここではオペラント条件づけについて、学習のメカニズムや具体例をわかりやすくまとめてみました。

オペラント条件づけの説明は以下のとおりです。オペラントは「操作(operation)」に由来する用語で、道具的条件づけとも呼ばれています。

【オペラント条件づけとは】
ある刺激のもとで行動することにより、行動の変容や学習が生じること。「道具的条件づけ」とも呼ばれる。

またオペラント条件づけは、ソーンダイクやスキナーの実験がもとになっているので、仕組みを確認しておくと良いでしょう。そして古典的条件づけとの違いにも注意が必要です。

オペラント条件づけについて、理解を深めるためにも、ぜひここで解説した内容を参考にしてみてください。

オペラント条件づけの参考書籍

オペラント条件づけに関する書籍として、「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史」などがあります。これらの本では、オペラント条件づけと古典的条件づけのことがまとめられています。

パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史

それぞれの実験内容・実験結果も、3〜4ページ程度で簡潔に紹介されていました。そのため要点を理解する分には問題なく、初心者でもわかりやすいでしょう。

行動分析学入門

また行動分析学・行動療法などを学ぶなら、「行動分析学入門」もおすすめです。この本では、行動の強化の仕組みが、具体例と一緒にわかりやすくまとめられています。

教科書のようにサイズは大きく、ページ数も多いので、しっかり勉強したい人向けだといえます。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。

オペラント条件づけの参考文献

実験的行動分析学と対人援助科学

罰の効果とその問題点

行動と認知の随伴性

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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