社会的手抜きとは?心理学の意味・日常の具体例・対策をわかりやすく解説

社会的手抜きとは

社会的手抜き(social loafing)とは「集団で何かをするとき、一人あたりのパフォーマンスが、単独で行うよりも低下する現象」を意味する心理学用語です。

これは、集団内で人々がサボってしまう心理状況を表しています。社会的手抜きの身近な例もあるので、原因を確認しておくと良いでしょう。

そこで今回は、社会的手抜きとは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味・具体例・実験内容についても簡単に紹介しています。

社会的手抜きの対策方法にも触れているので、内容を理解するためにも、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。

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社会的手抜きとは?心理学の意味をわかりやすく解説

そもそも社会的手抜きとは、日常生活でもよく見られる現象のことで、リンゲルマン効果やフリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれています。

これは「集団で何かをするとき、一人あたりのパフォーマンスが、単独で行うよりも低下すること」を意味する心理学用語です。集団の人数が多いほど、個人の努力量は下がります。

【社会的手抜きとは】
集団で何かをするとき、一人あたりのパフォーマンスが、単独で行うよりも低下する現象のこと。リンゲルマン効果やフリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれる。

つまり「自分一人くらいサボっても問題ないだろう」という人間の心理を表しています。社会的手抜きの研究は、リンゲルマンの綱引き実験から始まったといわれています。

社会的手抜きに関する心理学実験

リンゲルマンによる綱引き実験

フランスの農学者であるリンゲルマンは、綱引きの実験で社会的手抜きを発見しました。これは綱引きの人数と、一人あたりの引っ張る力の関係を調査するというものです。

綱引き実験は、綱引きを1対1で行う場合と、複数人で行う場合で行いました。その結果、綱引きの人数を増やすほど、一人あたりの引っ張る力は下がっていきました。

この現象は、発見者の名前から「リンゲルマン効果」と呼ばれています。社会的手抜きとリンゲルマン効果が同じ意味で使われるのも、この綱引き実験がもとになっているためです。

ラタネによる社会的手抜きの実験

リンゲルマンの綱引き実験では、綱引きのタイミングを合わせることが難しく、力を発揮できなかったという批判もあります。そこで社会心理学者のラタネらは、別の実験を行いました。

実験では6人の被験者に目隠しをヘッドホンをつけてもらい、誰と一緒にいるかわからないようにします。そして大声を出したり拍手をしてもらったりして、その音圧を測定しました。

その結果、被験者の人数を増やすほど、音圧は減少したそうです。また実際には一人しかいないにも関わらず、複数人で行っていると信じさせた場合も、同様の結果が見られました。

日常生活における社会的手抜きの具体例

たとえば学校の校歌を歌うとき、「自分一人くらい歌わなくてもバレないだろう」とあまり声を出さなかった人もいるでしょう。これは、社会的手抜きが原因だと考えられます。

またアルバイトでお金のダブルチェックをするときも、社会的手抜きが起こりやすい状況です。「別の人も確認するから大丈夫」という考えが、ミスにつながるかもしれません。

このように、日常生活で見られる社会的手抜きの例はたくさんあります。社会的手抜きを防ぐためにも、原因や対策方法もあわせて確認しておくことをおすすめします。

社会的手抜きの原因と防ぐための対策

社会的手抜きが起こる原因には、「集団の中で怠けている人を見つけにくい」ことが挙げれます。人数が多いほどバレる可能性は低くなり、サボりやすくなるという心理です。

また集団内では、「努力に見合った報酬を得られにくい」ことも考えれられます。自分の役割や評価基準が曖昧であれば、モチベーションも下がってしまうでしょう。

これらを踏まえて、社会的手抜きの対策を考える必要があります。つまり社会的手抜きを防ぐには、個人のモチベーションの維持することと、集団を管理する仕組みを作ることが重要です。

たとえば「集団内に自分が必要である」と、個人に動機づけする方法があります。具体的には、一人ひとりの努力をしっかり評価してあげる、チームの結束力を高めるなどです。

集団を管理する仕組みについては、小さなグループをつくる・ギリギリ達成できそうな目標を設定するなども良いでしょう。社会的手抜きの対策を考える際には参考にしてみてください。

社会的手抜きの意味・心理学実験・日常の具体例まとめ

今回は心理学の社会的手抜きについて、わかりやすくまとめました。

社会的手抜きの意味は、以下のとおりです。「自分一人くらいサボっても問題ないだろう」という人間の心理を表しています。

【社会的手抜きとは】
集団で何かをするとき、一人あたりのパフォーマンスが、単独で行うよりも低下する現象のこと。リンゲルマン効果やフリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれる。

また社会的手抜きは、リンゲルマン効果やフリーライダー(ただ乗り)現象とも呼ばれています。日常で見られる例も多いので、原因や対策方法をチェックしておくと良いでしょう。

社会的手抜きの理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

社会的手抜きの参考文献

社会的手抜きに及ぼす課題への動機づけの影響

順社会的行動の意思決定モデルの検討

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