沈黙の螺旋とは、社会心理学の用語で、「社会的圧力によって、少数派が意見を表明できない状況に追い込まれてしまう様子」を表しています。
この現象が起こると、多数派はより多数派になり、少数派はますます少数派になってしまいます。日常で見られる身近な例も多いので、意味を確認しておくと良いでしょう。
そこで今回は、沈黙の螺旋とは何かをわかりやすくまとめてみました。理論の意味・具体例についても簡単に説明しています。
また沈黙の螺旋理論を提唱するきっかけになった、選挙の例にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
沈黙の螺旋とは?理論の意味を分かりやすく解説
沈黙の螺旋とは、ドイツの政治学者であるノエル=ノイマンが提唱しました。「社会的圧力によって、少数派が意見を表明できない状況に追い込まれてしまう様子」を表しています。
この理論は、「人間は孤立することを恐れる」という仮説のもとで成り立っています。そのうえで社会の動向を察知し、自分が孤立しないように判断するとノイマンは考えました。
【沈黙の螺旋とは】
「社会的圧力によって、少数派が意見を表明できない状況に追い込まれてしまう様子」を意味する心理学用語。
沈黙の螺旋が起こると、多数派の意見が大勢から支持されているように見えます。それによって、少数派はますます沈黙し、意見を表明できない状況に追い込まれてしまいます。
その結果、多数派はより多数派に、少数派はより少数派になるというわけです。これを繰り返すことで、世論が多数派の意見に収束していきます。
沈黙の螺旋を提唱するきっかけになった選挙の例
ノイマンが沈黙の螺旋を提唱したのは、1965年のドイツ連邦議会選挙がきっかけです。直前までは政党A・Bの支持率は拮抗していましたが、選挙結果は政党Aの圧勝でした。
ノイマンはこの理由を調べるため、選挙前の世論調査に着目します。その結果、圧勝した政党Aの支持率が、約半年前から急増していることがわかりました。
つまり当時の世論は、「政党Aが勝ちそうな流れだ」という認識だったと考えられます。自分たちが優勢だと思った人はより強く表明し、劣勢だと思った人は沈黙したことでしょう。
そして世論の影響は大きく、社会的圧力にもなっていたはずです。この勢いが選挙結果につながったとして、ノイマンは沈黙の螺旋という仮説を提唱しました。
沈黙の螺旋の現象が見られる身近な例
沈黙の螺旋は、マスメディアの影響を受けやすいという特徴があります。そのため、日常で見られる身近な例も多くあります。
たとえばニュースで、「オリンピックに反対する人が多い」という意見を取り上げるとします。その結果、賛成する人たちが意見を主張しづらくなるイメージです。
このとき、実際は賛成する人が多くても、反対する人が多数派のように見える場合があリます。そうなると沈黙の螺旋が起こり、反対する人はどんどん増えてしまうでしょう。
ちなみにメディアが偏った報道をすると、「自分の考えは他人と違う」と思い込み、周りに合わせてしまう現象も見られます。これを心理学では、多元的無知といいます。
特に現在は、SNSを通して情報の検索・発信が簡単にできる時代です。そのため正しい内容なのかを見極めること、自分の意見はしっかり主張することが重要だといえます。
沈黙の螺旋理論の意味・身近な具体例まとめ
今回は心理学の沈黙の螺旋について、簡単にまとめてみました。
沈黙の螺旋の意味とは、以下のとおりです。政治学者のノイマンが提唱した理論で、「人間は孤立することを恐れる」という仮説のもとで成り立っています。
【沈黙の螺旋とは】
「社会的圧力によって、少数派が意見を表明できない状況に追い込まれてしまう様子」を意味する心理学用語。
沈黙の螺旋が起こると、少数派はますます少数派になってしまいます。日常でも見られる現象で、身近な例も多くあるので、意味をチェックしておくと良いでしょう。
沈黙の螺旋の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
沈黙の螺旋に関係する参考文献
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