フォールス・コンセンサス効果とは、自分の意見や行動は一般的であると思い込んで、「ほかの人も自分と同じように考えるだろう」と錯覚を起こしてしまう現象のことを意味します。
たとえば「忙しいのに定時で帰るなんてありえないとみんな思っている」と考えてしまうイメージです。その結果、自分が無理をしたり、相手を傷つけたりする可能性もあります。
そこで今回は、フォールス・コンセンサス効果とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味や、具体例についても簡単に紹介しています。
またフォールス・コンセンサス効果の要因や、心理学実験にも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
フォールス・コンセンサス効果とは?意味をわかりやすく解説
フォールス・コンセンサス効果とは、認知バイアスのひとつで、偽の合意効果・総意誤認効果とも呼ばれています。アメリカの社会心理学者であるリー・ロスが提唱しました。
簡単に説明すると、自分の意見や行動は一般的であると思い込んで、「ほかの人も自分と同じように考えるだろう」と錯覚を起こしてしまう現象のことです。
【フォールス・コンセンサス効果とは】
自分の意見や行動は一般的であると思い込んで、「ほかの人も自分と同じように考えるだろう」と錯覚を起こしてしまう現象のこと。偽の合意効果・総意誤認効果とも呼ばれる。
特にフォールス・コンセンサス効果は、規範的影響のもとで起こりやすいといわれています。また具体的な要因としては、以下のようなものがあります。
- 人間は、自分と似ている背景・価値観・興味・経験を持つ人と協働する傾向がある
- 人間は、自分の選択が重要なものであると思い、その選択に対する合意を得ようとする
- 人間は、自分の行動が周囲の環境によって引き起こされたと思う傾向があり、ほかの人も同じ状況では同様の行動をとると考える
- 人間は、自分の自尊感情を維持しようとして、自分の選択が正しいと思う傾向がある
フォールス・コンセンサス効果に関する心理学実験
社会心理学者のロスは、フォールス・コンセンサス効果に関する実験として、「サンドイッチマン実験」を行いました。
これは大学生に、「広告板をぶら下げてキャンパス内を歩いてほしい」と依頼する内容です。身体の前後にボードを取り付けることから、サンドイッチマンという名前がついています。
被験者には、実験に同意するか・拒否するかを選んでもらいます。さらに「ほかの人にも同じ依頼をしたらどう答えるか」を聞きました。
すると実験に同意した人は「ほかの人も同意すると思う」と回答した割合が多く(約6割)、拒否した人は「ほかの人も拒否すると思う」と回答した割合が多くなりました(約7割)。
これはフォールス・コンセンサス効果により、被験者が「ほかの人も自分と同じように回答するだろう」と考えていたことを表しています。
フォールス・コンセンサス効果の具体例
フォールス・コンセンサス効果の具体例は、日常でもよく見られます。たとえば微熱があるときに、「この程度で休むべきではないと周りは思うだろう」と考えてしまうイメージです。
実際には、体調を心配してくれる人も多くいると思います。それにも関わらず、休みづらいと感じてしまうのは、フォールス・コンセンサス効果が関係しているといえるでしょう。
ほかにも、「予定もないのに有給休暇を使うべきではない」「新人は先輩よりも早く集まるべきだ」「休日でも仕事の連絡に返事をするべきだ」などの具体例があります。
フォールス・コンセンサス効果によって、誤った思い込みをしてしまうと、自分が無理をしたり相手を傷つけたりする場合もあるので注意が必要です。
フォールス・コンセンサス効果の意味・具体例まとめ
今回は心理学のフォールス・コンセンサス効果について、わかりやすくまとめました。
フォールス・コンセンサス効果の意味とは、以下のとおりです。認知バイアスのひとつで、社会心理学者であるリー・ロスが提唱しました。
【フォールス・コンセンサス効果とは】
自分の意見や行動は一般的であると思い込んで、「ほかの人も自分と同じように考えるだろう」と錯覚を起こしてしまう現象のこと。偽の合意効果・総意誤認効果とも呼ばれる。
フォールス・コンセンサス効果の具体例は、日常生活においてもよく見られます。特に規範的影響のもとで起こりやすいので、その要因をチェックしておくと良いでしょう。
フォールス・コンセンサス効果の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
フォールス・コンセンサス効果の参考文献
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