規範的影響(normative influence)とは、社会心理学の用語で、「他者から好かれるため、集団規範に合わせてしまう」ことを意味します。
日常生活においても、規範的影響が原因で、周りに合わせて行動してしまう例はよく見られます。その結果、自分が我慢をしたり無理をしたりすることもあるでしょう。
そこで今回は、規範的影響とは何かをわかりやすくまとめてみました。心理学の意味や、具体例についても簡単に説明しています。
また規範的影響と情報的影響の違いにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
規範的影響とは?心理学の意味をわかりやすく解説
そもそも規範的影響とは、心理学の同調と関係がある用語です。同調については、「周りに合わせて意見や行動を変えてしまうこと」だと思っておけば良いでしょう。
そして同調してしまう原因のひとつとして、心理学者のドイチェとジェラルドが、規範的影響を提唱しました。「他者から好かれるため、集団規範に合わせてしまう」というものです。
【規範的影響とは】
同調してしまう原因のひとつで、「他者から好かれるため、集団規範に合わせてしまう」というもの。
規範的影響は、他者から好まれたいという欲求からきています。相手に嫌われたり、仲間はずれにされたりすることを恐れて、集団の規範に迎合してしまうというわけです。
特に集団凝集性が高い場合や、グループ内で自分の地位が低い場合に同調してしまうのは、規範的影響が関係していると考えられます。
規範的影響による同調の具体例を簡単に説明
規範的影響の具体例は、職場で同調してしまう様子を想像するとわかりやすいと思います。
たとえば定時を過ぎて、1日の業務が終わったときに、周りの人がまだ仕事をしているとします。そこで「自分だけ先に帰りづらい」と感じて、残業してしまうようなイメージです。
また「みんな忙しそうだし有給休暇を申請しづらい」「先輩が参加するから自分も行くべきだ」と思って、周りに合わせてしまうのも、規範的影響による同調の例だといえます。
ちなみに規範的影響のもとでは、「ほかの人も自分と同じように思っている」という錯覚を起こしてしまいがちです。このような現象を、フォールスコンセンサス効果といいます。
規範的影響と情報的影響の違いについて
心理学者のドイチェとジェラルドは、規範的影響だけでなく、情報的影響も同調に関係していると考えました。
情報的影響とは、他者の意見や行動が、正解に近いという信念にもとづいています。そして自分が間違えないように、他者を判断基準にしようとするイメージです。
規範的影響と情報的影響の違いは、商品を買うときを想像すると良いでしょう。レビューを参考にして選ぶのが情報的影響で、仲間と同じ商品を選ぶのが規範的影響です。
そのため同調してしまう原因として、規範的影響と情報的影響は、あわせてチェックしておくことをおすすめします。
規範的影響の意味・具体例・情報的影響との違いまとめ
今回は心理学の規範的影響について、簡単にまとめてみました。
規範的影響の意味とは、以下のとおりです。社会心理学の用語で、相手に嫌われたり仲間はずれにされたりすることを恐れて、集団の規範に迎合してしまうことを表します。
【規範的影響とは】
同調してしまう原因のひとつで、「他者から好かれるため、集団規範に合わせてしまう」というもの。
日常においても、規範的影響による同調の例はよく見られます。また情報的影響が関係している場合もあるので、社会心理学を勉強する際にはあわせて覚えておくと良いでしょう。
規範的影響の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
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