ホーソン効果とは?心理学の意味・具体例・ピグマリオン効果との違いを解説

ホーソン効果とは

ホーソン効果とは「他者から注目されることで、自身の行動が変化し、良い結果をもたらすこと」を意味する心理学用語です。職場や教育現場など、日常生活でもその現象は見られます。

ただし調べてみると、ホーソン効果について書かれている心理学本は少ないと思いました。またピグマリオン効果など、似たような心理学用語もあるので注意が必要です。

そこで今回は、ホーソン効果の意味や具体例をわかりやすくまとめてみました。名前の由来になった「ホーソン実験」の内容についても、簡単に解説しています。

またホーソン効果とピグマリオン効果の違いにも触れているので、正しく理解するためにも、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。

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ホーソン効果とは?心理学の意味を簡単に解説

そもそもホーソン効果とは、心理学者のエルトン・メイヨー、フリッツ・レスリスバーガーらが提唱した心理学用語です。

これは「他者から注目されることで、自身の行動が変化し、良い結果をもたらす現象」を表しています。期待に応えようと、力を発揮するようなイメージです。

【ホーソン効果とは】
他者から注目されることで、自身の行動が変化し、良い結果をもたらす現象。アメリカの工場で実施されたホーソン実験がもとになっている。

これはアメリカの工場で実施された、ホーソン実験(ホーソン研究)が由来になっています。もともとは照明の明るさなどの労働条件が、生産性に影響を与えることを証明する研究でした。

しかしホーソン実験の結果、生産性を上げるには、労働条件よりも従業員を取り巻く人間関係が重要であることがわかります。これをきっかけに、ホーソン効果は発見されました。

ホーソン効果のもとになった「ホーソン実験」

物理的な労働条件に注目したホーソン実験

まずはじめにメイヨーらは、「照明実験」と「継電器組み立て作業実験」を実施して、生産性にどのような変化が出るかを調査しました。

照明実験【照明の明るさを変えた実験】
・照明の明るさを一定に保つ
・照明を段階的に明るくする
継電器組み立て作業実験【労働条件を変えた実験】
・作業部屋の温度や湿度を変える
・労働日数や休憩時間を変える
・休憩中に飲食物を提供するなど

照明実験では、どの条件下の明るさでも生産性が向上しました。さらにその後、照明を暗くして検証しても、向上した生産性は維持されていたそうです。

また継電器組み立て作業実験では、さまざまな労働条件で生産性を調査します。しかし結果は、どの労働条件にも関係なく、生産性が向上しました。

これは当時の「労働条件が生産性に影響を与える」という考え方を変えるきっかけになります。

従業員を取り巻く人間関係に注目したホーソン実験

労働条件に注目した実験結果から、メイヨーらは従業員を取り巻く人間関係に注目します。そして「面接実験」と「バンク巻き取り観察実験」を実施しました。

面接実験【約20000人の従業員と面談】
・人間関係の満足度の聞き取り
・仕事の不満や苦情を聞き取り
バンク巻き取り観察実験【集団内の人間関係を調査】
・部署や役職などで形成された集団
・自然に形成された仲間の集団

面談実験では、約20000人の従業員と面談を実施しました。その結果、個人の経歴・家庭や社会での生活・職場の人間関係の満足度が、労働意欲に影響を与えていることが判明します。

バンク巻き取り観察実験では、14人で1つのグループを組んで作業します。そして、社内で自然に形成された仲間の集団が、生産性に影響を与えることを発見しました。

教育現場や職場で見られるホーソン効果の具体例

たとえば授業参観日は、ホーソン効果が発生しやすいでしょう。自分の両親や友達の保護者が、教室の後ろから見ているので、普段よりも勉強に身が入ると思います。

ほかにも部活動でコーチが見ている場合・アルバイト先に本部の偉い人が来ている場合など、自分が注目されているような気持ちになるときは、いつもと行動が変わっているかもしれません。

またビジネスの場面では、リモートワークよりも出社する方が、効率的に働ける人もいます。これは上司や周りの目があることで、作業が捗っているとも考えられます。

ホーソン効果と「ピグマリオン効果」の違い

ホーソン効果と混同しやすい心理学用語として、ピグマリオン効果があります。これは「他者から期待された人が、その期待に応えて成果を出すこと」のような意味で使われます。

ホーソン効果・自分が他者から注目される
・「注目」がキーワード
ピグマリオン効果・自分が他者に期待する
・「期待」がキーワード

両者の違いは、大きく分けて2点です。ピグマリオン効果は「自分が期待する側」であるのに対して、ホーソン効果は「自分が注目される側」になっています。

またピグマリオン効果は「期待」ですが、ホーソン効果は期待よりも「注目」や「関心」という意味合いです。ただし注目されることで、自分が期待されていると感じる場合もあるでしょう。

ホーソン効果の意味・具体例・ピグマリオン効果との違いまとめ

今回は心理学のホーソン効果について、簡単にまとめました。

ホーソン効果の意味は以下のとおりです。メイヨーらが実施した「ホーソン実験」が、名前の由来になっています。

【ホーソン効果とは】
他者から注目されることで、自身の行動が変化し、良い結果をもたらす現象。アメリカの工場で実施されたホーソン実験がもとになっている。

職場や教育現場など、ホーソン効果の具体例は多くあります。勉強する際には、ピグマリオン効果と混同しやすいので注意しておくと良いでしょう。

ホーソン効果の理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

ホーソン効果に関する参考書籍

眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学

眠れなくなるほど面白い社会心理学

『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』は、社会で見られるさまざまな心理学を紹介しています。ホーソン効果に関する実験も、この本に書かれていました。

右ページで解説、左ページで図解という構成になっており、文字数は少なめです。心理学の実験内容なども簡潔にまとめらているので、ざっくり内容を知りたい人におすすめします。

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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