スキナー箱の実験とは?実験方法・結果・強化学習のしくみを簡単に解説

スキナー箱の実験

スキナー箱の実験とは、動物を仕掛けのある箱に入れてどのような行動の変化があるのか、その学習プロセスを研究したものです。

このスキナー箱の実験は、「オペラント条件づけ」のもとになっています。そのため実験方法を知っておくと、行動心理を理解するうえで役立つでしょう。

ここではスキナー箱の実験について、簡単にまとめてみました。強化学習の仕組みもわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください

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スキナー箱の実験とは?簡単に解説

スキナー箱の実験とは

そもそもスキナー箱とは、アメリカの心理学者のバラス・F・スキナーが実験に用いた箱のことです。箱には仕掛けがあり、そこに動物を入れて、行動の学習プロセスを観察しました。

【スキナー箱の実験とは】
仕掛けのある箱に動物を入れて、行動の学習プロセスを観察した実験。心理学者のスキナーは、反応した結果にもとづいて学習が生じることを発見し、それを「オペラント条件づけ」と呼んだ。

この実験から、スキナーは「ある行動したことによる環境の変化と、その結果によって学習が生じる」ことを説明します。この学習プロセスを、オペラント条件づけを呼びました。

そのためスキナー箱は、オペラント箱ともいわれています。

スキナー箱の実験方法と結果

スキナー箱には、あらゆる仕掛けが用意されました。そのため、スキナーが行った実験方法もさまざまです。

ここではスキナーがどのような動物を使い、どのような実験を行ったのか、その内容の一部を紹介します。

日本行動分析学会のページでは、実験の様子を再現した動画を視聴できます。

ラットを使った実験・結果

スキナー箱の実験

ラットを使った実験では、中にレバーが付いている箱を用意しました。レバーを押すと、エサが出る仕組みになっています。

最初ラットは、箱の中を走り回るだけでした。しかし偶然レバーに触れて、エサが出ることに気づくと、その後ラットは1分間に5回のペースで引くようになります。

また突然大きな音を浴びさせて、レバーを押すと鳴り止むような仕掛けも作りました。このような実験を繰り返すと、ラットは箱に入れられた瞬間、レバーを押すようになったそうです。

ラットを使った実験(連鎖化)

次第にスキナーは、より複雑な箱をつくるようになります。たとえばブザーが鳴ったら振り返り、ライトが点灯してレバーを押すをエサが出るという仕組みです。

このとき、1度に1つの動作を学習をするという条件を守れば、ラットは一連の流れを学習できます。スキナーは、この学習プロセスを「連鎖化」と呼びました。

鳩を使った実験・結果

スキナーは、ラットの代わりに鳩を使っても実験を行います。その仕組みは、鳩が反応キー(スイッチ)をつつくと、エサが出てくるようなものでした。

実験の結果、鳩は反応キーを頻繁につつくようになります。また毎回エサが出るのではなく、間欠的な場合でも、鳩は反応キーをつつきました。

この行動は、ギャンブル用のスロットマシンと同じだとスキナーは指摘します。つまり間欠的に出てくるコインの量が、入れたコインよりも多くなることを、ギャンブラーは期待しているのです。

ちなみに鳩が「箱の中で一度回ってからつつく」というような、複雑な動作も学習できることを、スキナーは説明しています。

スキナー箱の強化学習の仕組み

先ほどのラットの実験では、レバーを押した後にエサが出たことで、その行動の回数が増えました。これを「強化」といいます。

このとき、エサは行動を強化させる「強化子」になっています。そして、反応を自発する手がかりになった刺激(レバー)が「弁別刺激」です。

またスキナー箱の実験では、レバーを押すと(反応)、エサが出ること(結果)を学習しました。このような、弁別刺激・反応・結果の関係を「3項随伴性」といいます。

スキナーはあくまでも「行動の変化」に着目する

スキナーは実験結果について、「ラットはエサが欲しくて学習した」と言いませんでした。なぜなら、ラット自身がどう変化したのかは、明らかになっていないからです。

今回の実験でわかったのは、あくまでもレバーを押すという「行動」が強化されたということ。そのためスキナー箱の実験では、観察できたことだけが記録されています。

参考:スキナー箱とソーンダイクの問題箱

スキナー箱は、ソーンダイクの問題箱(パズルボックス)と似ています。どちらも動物を箱に入れて、行動を観察できる構造になっているのが特徴です。

ただしスキナー箱の方は、自動記録器が付いているなど、念入りに作られていました。そのためずっと観察していなくても、正確なデータを集めることができたそうです。

関連記事:ソーンダイクの問題箱実験とは

スキナー箱の実験まとめ

今回はスキナー箱の実験方法や結果、強化学習の仕組みを簡単にまとめました。

スキナー箱の実験内容は、以下の通りです。スキナーは人間について「行動の結果から学習し、報酬が与えられた場合はその行動を繰り返す」と考えて、研究を行いました。

【スキナー箱の実験とは】
仕掛けのある箱に動物を入れて、行動の学習プロセスを観察した実験。心理学者のスキナーは、反応した結果にもとづいて学習が生じることを発見し、それを「オペラント条件づけ」と呼んだ。

また「オペラント条件づけ(道具的条件づけ)」を理解するうえでも重要です。特に強化学習の仕組みついては、しっかり確認しておくことをおすすめします。

スキナー箱の実験について、理解を深めるためにも、ぜひここで解説した内容を参考にしてみてください。

関連記事:オペラント条件づけとは?

スキナー箱の実験の参考書籍

スキナー箱の実験に関する書籍として、「学習の心理―行動のメカニズムを探る」や「パブロフの犬:実験でたどる心理学の歴史」などがあります。

これらの本では、ラットや鳩を使ったスキナーの研究がまとめられています。またそれぞれの実験方法・実験結果も、簡単に紹介されていました。

そのため内容は、初心者でもわかりやすいでしょう。動物や人間における学習の仕組みを学びたい人は、ぜひ読んでみてください。

スキナー箱の実験の参考文献

実験的行動分析学と対人援助科学

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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