アンダーマイニング効果とは?心理学の意味や具体例を簡単に解説

アンダーマイニング効果とは

アンダーマイニング効果とは「報酬や罰を得ることによって、興味や好奇心が下がってしまう現象」のことを意味する心理学用語です。

子育てや仕事など、アンダーマイニング効果が見られる場面は多くあります。そのため仕組みを理解しておくと、モチベーションの維持に役立つでしょう。

そこで今回は、アンダーマイニング効果の意味をまとめてみました。日常で見られる具体例や、実験内容にも簡単に解説しています。

またアンダーマイニング効果を防ぐ方法や、逆の意味を表す心理学用語にも触れています。正しく理解するためにも、ぜひここで紹介する内容を参考にしてみてください。

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アンダーマイニング効果とは?意味をわかりやすく解説

そもそもアンダーマイニング効果とは、心理学の動機づけに関係する用語です。動機づけについては、「行動を引き起こす心の動き(やる気)」と思っておけば良いでしょう。

そして動機づけには、好き・面白いのように内側から湧いてくる「内発的動機づけ」と、報酬・罰のように外側から与えられる「外発的動機づけ」の2種類があります。

この外発的動機づけによって、内発的動機づけが下がってしまう現象を「アンダーマイニング効果」といいます。

【アンダーマイニング効果とは】
報酬や罰を得る(外発的動機づけ)ことによって、興味や好奇心(内発的動機づけ)が下がってしまう現象のこと。過剰正当化効果とも呼ばれる。

ちなみにアンダーマイニング効果は、過剰正当化効果とも呼ばれています。

アンダーマイニング効果の心理学実験

アンダーマイニング効果に関する研究は多数あります。たとえば1971年に、アメリカの心理学者であるエドワード・L・デシが、以下のような実験を行いました。

まず大学生を2つのグループに分け、それぞれパズルを解かせます。片方には2回目で報酬を与えて、各セクションの休憩時間の様子を観察しました。

グループAグループB
1回目報酬なし報酬なし
2回目報酬あり
(やる気↑)
報酬なし
3回目報酬なし
(やる気↓)
報酬なし

すると2回目の休憩中、報酬ありのグループの大学生は、時間をかけてパズルを解こうとします。しかし3回目で報酬がなくなると、パズルを解く時間が大幅に減ってしまいました。

この結果から、報酬(外発的動機づけ)によって、実験に対する意欲(内発的動機づけ)が失われてしまったと、デシは説明しています。

アンダーマイニング効果の具体例

具体例1:子育ての場面で見られるアンダーマイニング効果

たとえば宿題をしない子どもに「宿題をやったらご褒美をあげる」というルールを設定します。これを継続した場合、子どもはご褒美がないと宿題をやらなくなってしまうでしょう。

同様に「お手伝いをしたらお小遣いをあげる」「良い点数を取ったらゲームを買ってあげる」なども、アンダーマイニング効果を引き起こす場合があるので注意が必要です。

また習い事やスポーツの場面でも、アンダーマイニング効果が見られます。ご褒美は悪いことではありませんが、興味や楽しさから来る動機を損なわないようにすることも大切です。

具体例2:仕事の場面で見られるアンダーマイニング効果

仕事の場合、具体例としてわかりやすいのは会社のボーナスでしょう。元々は夢を持って入社したにも関わらず、ボーナスをもらうことで、その月以外はやる気が出なくなるイメージです。

ほかにも会社で表彰されたり、周りの人から賞賛されたりすることによって、アンダーマイニング効果が生じる可能性も考えられます。

また副業として、自分の作品をネット上に公開している人もいるでしょう。SNSのいいねやフォロワー数なども、アンダーマイニング効果を引き起こす場合があるので注意してください。

アンダーマイニング効果とは逆の「エンハンシング効果」

アンダーマイニング効果とは逆に、報酬を与えることでやる気が高まる現象もあります。これを心理学では「エンハンシング効果」といいます。

たとえば会社からボーナスをもらえて、仕事のやる気が出たケースです。これはボーナス(外発的動機づけ)によって、モチベーションが高まった(内発的動機づけ)と考えられます。

つまり外発的動機づけは、必ずしもアンダーマイニング効果を引き起こすわけではありません。「報酬を与えることは悪い」と勘違いしないようにしてください。

アンダーマイニング効果を防ぐ方法

アンダーマイニング効果を防ぐには、自己効力感(セルフ・エフィカシー)が重要だと考えています。これは「自分ならやれる」と認識できることを意味する心理学用語です。

自己効力感を高められれば、報酬がなくてもモチベーションを維持できて、アンダーマイニング効果を防げるでしょう。

自己効力感を高めるには、小さな成功体験を積み重ねる・他者が成功している様子を観察して「あの人にできるなら自分でも大丈夫」と思えることなどが挙げられます。

アンダーマイニング効果の意味・具体例・防ぐ方法まとめ

今回は心理学のアンダーマイニング効果について、簡単にまとめました。

アンダーマイニング効果の意味は、以下のとおりです。心理学の動機づけに関係する用語で、過剰正当化効果とも呼ばれています。

【アンダーマイニング効果とは】
報酬や罰を得る(外発的動機づけ)ことによって、興味や好奇心(内発的動機づけ)が下がってしまう現象のこと。過剰正当化効果とも呼ばれる。

ただし報酬を得ることは、必ずしも悪いわけではないので注意が必要です。実際に心理学では、アンダーマイニング効果とは逆の意味をもつ「エンハンシング効果」もあります。

アンダーマイニング効果を防ぎ、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。

※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。

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