トークン・エコノミー法とは、「好きな報酬と交換できるトークン(シールなど)を与えることで、望ましい行動を習得させる方法」です。主な対象は子どもですが、注意点もあります。
そこで今回は、トークン・エコノミー法について、心理学の仕組みを簡単にまとめてみました。トークンの具体例や、日常生活で見られる例もわかりやすく解説しています。
またトークン・エコノミー法のメリットとデメリットにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
トークン・エコノミー法とは?意味をわかりやすく解説
そもそもトークン・エコノミー法とは、行動療法のひとつです。トークンと呼ばれる疑似通貨を用いて、望ましい行動の習得を目指します。
このトークンの代表例は、シール・コイン・スタンプなどです。そして一定量を集めると、好きな報酬(お菓子やおもちゃなど)と交換できる仕組みになっています。
【トークン・エコノミー法とは】
好きな報酬と交換できるトークンを与えることで、望ましい行動を習得させる方法。主な対象は子どもで、シール・コイン・スタンプなどを用いる。
トークン・エコノミー法の対象は、子どもの場合がほとんどです。また発達障害などをもっている場合にも、用いられることがあります。
トークン・エコノミー法の具体例
たとえばトークン・エコノミー法を用いて、子どもに食後の歯磨きを習得させるとしましょう。
まず子どもには、「食後に歯磨きをしたらシールがもらえる」と教えます。そしてシールを集めると、好きな物と交換できるようにして、歯磨きという行動を習得させるわけです。
ちなみにトークンを用いた方法は、経済やマーケティングの分野でも注目されています。お金やポイントだけでなく、仮想通貨・暗号資産なども、トークンのひとつの例だといえるでしょう。
トークン・エコノミー法のメリットやデメリット
トークン・エコノミー法は、望ましい行動を習得させたいときに役立つ方法です。子どもはもちろん、発達障害などを持っている場合でも、利用できるメリットがあります。
しかし難易度が高すぎると、子どもは途中で諦めてしまうでしょう。また望まないものが報酬だった場合も、動機づけにならないので注意が必要です。
そしてトークン・エコノミー法に頼りすぎると、「報酬がないと取り組まなくなる」ということも考えられます(アンダーマイニング効果)。
つまりトークン・エコノミー法は、子どもの成長に合わせて上手に用いることが重要だと言えます。
トークン・エコノミー法以外の行動療法
トークン・エコノミー法のほかにも、オペラント条件付けを原理とした行動療法はいくつかあります。
たとえば、行動の習得が難しい場合に用いる「シェイピング」です。達成しやすい課題を通して、スモールステップを踏みながら、段階的に習得を目指します。
また問題行動の多い子どもに対しては、「タイム・アウト法」もあります。これは大人の注意や周囲の注目が、強化子になっている場合に、それを取り除く方法です。
トークン・エコノミー法の特徴や具体例まとめ
今回はトークン・エコノミー法について、わかりやすくまとめてみました。
トークン・エコノミー法の意味は、以下のとおりです。行動療法のひとつで、一定量を集めると、好きな報酬と交換できる仕組みになっています。
【トークン・エコノミー法とは】
好きな報酬と交換できるトークンを与えることで、望ましい行動を習得させる方法。主な対象は子どもで、シール・コイン・スタンプなどを用いる。
トークン・エコノミー法は、望ましい行動を習得させたいときに役立ちます。日常生活でも見られますが、デメリットもあるので注意が必要です。
トークン・エコノミー法について、理解を深めるためにも、ぜひここで紹介した内容を参考にしてみてください。
関連記事:オペラント条件づけ(道具的条件づけ)とは
トークン・エコノミー法の参考書籍
トークン・エコノミー法に関する書籍として、「行動分析学入門」などがあります。
この本では、行動学習の仕組みが、具体例と一緒にわかりやすくまとめられています。その中に、トークンを用いた実験例も解説されていました。
教科書のようにサイズは大きく、ページ数も多いので、しっかり勉強したい人向けです。気になる人は、ぜひ一度チェックしてみてください。
トークン・エコノミー法の参考文献
・自閉性障害児におけるトー クン・エコノミー法による援助行動の獲得と般化
・行動問題を示す自閉症児へのトークン・エコノミー法を用いた課題従事に対する支援
・不登校を示した高機能広汎性発達障害児への登校支援のための行動コンサルテーションの効果
※参考書籍や参考文献をもとに、筆者の見解を踏まえて内容をまとめております。
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